コラム

COLUMN
2021.09.07

【遺言の基礎】遺贈と遺言の違い

遺贈とは、遺言によって自分が指定した人に対し、自分の財産を一方的に与えることをいいます。

この記事では、遺贈の分類と類似した行為の違いについて、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

遺贈=財産を一方的に与えること

遺贈をする場合は必ず遺言書を作成する必要があります。受遺者を相続人にする必要はなく、誰でもかまわず指定できます。

遺贈は与える方法に応じて特定の財産を与える特定遺贈と、分数的割合で財産を与える包括遺贈に分類できます。

被相続人自ら死亡することで相続が始まるため、遺言書を作成しなくても相続人に対しては自分の死後に自動的に自分の財産を与えた状態が作り出されます。

後は相続人全員が遺産分割協議での話し合いなどで相続財産を分配すればよいわけですが、自分の死後に財産を相続人以外の人物(内縁の配偶)や団体(慈善団体など)に与えたいと考える場合は、遺言書を作成して遺贈する必要があります。

遺贈は財産を一方的に与えるものなので、遺言者が死亡したときに受遺者の意向とは無関係に効力が発生します。

遺言の内容を実現する遺贈義務者は原則として相続人ですが、遺言執行者がいる場合は遺言執行者となります。

遺贈義務者は受遺者に遺贈の対象になっている財産を譲り渡す義務を負いますが、受遺者は遺贈を受け入れるかどうかを選択できます。

遺贈を受け入れることを「遺贈の承認」、受入れを拒否することを「遺贈の放棄」といいます。

また、遺贈は「遺言」によって行うため、遺言が必要な方式に違反している場合などは遺言が無効になる結果として、遺贈も無効になります。

遺贈は相続とは違い、遺言者の死亡時に受遺者が死亡していた場合の代襲相続のような制度はありませんので、受遺者の相続人が代わりに遺贈を受けることはできないのです。

遺贈の目的物については、相続財産に含まれる範囲に限られており、遺言者の死亡時に遺贈の目的物が相続財産の範囲に含まれていなければ、原則として遺贈は無効になります。

特定遺贈の特徴

特定の財産を遺贈することを、特定遺贈といいます。たとえば、遺言書に「〇〇市〇〇町にある土地をBに遺贈する」「現金100万円をBに遺贈する」と記載するのが特定遺贈の例として挙げられます。

特定遺贈における受遺者は、遺言者の死亡後いつでも特定遺贈の承認や放棄ができますが、いったん承認や放棄をすると後から撤回できなくなる点には注意しましょう。

受遺者が特定遺贈の承認も放棄もしない場合、相続財産の行方が確定せず不安定な状態になるため、遺贈義務者などは受遺者に対し、期間を定めた上で特定遺贈の承認や放棄をするよう催促できます。

受遺者がこの催促に応答しない場合は特定遺贈を承認したものと扱います。

包括遺贈のメリット・デメリット

相続財産の全部あるいは「〇分の〇」という分数的割合で示した一部を遺贈することを、包括遺贈といいいます。

たとえば、遺言書に「相続財産の全部をCに遺贈する」「相続財産の3分の1をDに遺贈する」と記載するのが包括遺贈の例として挙げられます。

受遺者が相続人と同じ地位に立つことが包括遺贈の最大の特徴であるため、不動産や現金などの積極的財産とともに借金などの消極財産も取得します。

さらに、包括遺贈の承認や放棄も相続の承認や放棄と同じように扱います。

包括遺贈を放棄する場合は、自分のために包括遺贈があったのを知った時から3か月以内(熟慮期間内)に、家庭裁判所に包括遺贈の放棄の申述をします。

対して、包括遺贈の限定承認をする場合は、相続人全員や他の包括受遺者と共同して熟慮期間内に限定承認の申述をします。

何もしないで熟慮期間を経過すると、包括遺贈を単純承認したものと扱われるので注意しましょう。

遺贈と死因贈与との違いとは?

死因贈与は遺贈と類似した行為ですが、死因贈与とは財産を与える側の人(贈与者)が死亡したときに財産を受贈者に与える効果が発生する贈与契約(財産を無償で与える契約のこと)をいいます。

死因贈与は、贈与者の死亡時に効力が発生する点で遺贈と共通していますが、死因贈与は「契約」であることから遺贈のような厳格な方式に従う必要がありません。

これに対して、遺贈は遺言という民法が定める厳格な方式を用いるため、これに従った遺言書の作成が必要です。

たとえば、自筆証書遺言の方式を用いる際は、全文の自書と署名押印が必要です。

相続させる旨の遺言と遺贈との違いについて

遺言書で相続人に財産を与えるときは、遺贈ではなく相続させる旨の遺言を用いるのが一般的です。

相続させる旨の遺言とは、被相続人が持っている特定の財産を相続人に相続させる遺言のことで、相続人だけに対して行うことが可能です。

たとえば、「遺言書に「〇〇市〇〇町にある建物を相続人Aに相続させる」と記載した場合、「与える」ではなく「相続させる」と記載するのがポイントです。

このような旨の遺言がある場合、「〇〇市〇〇町にある建物」の帰属先が「相続人A」になることが確定し、これに反する遺産分割ができなくなります(遺産分割方法の指定)。

その結果、相続人Aは単独で所有権移転登記の申請手続きができます。

対して、相続人が不動産の遺贈を受けた場合、所有権移転登記の申請手続きは他の相続人との共同申請(遺言執行者がいる場合は遺言執行者との共同申請)になり、他の相続人(あるいは遺言執行者)が協力してくれなければ、訴訟の提起が必要です。

遺贈に関するまとめ

  • 特定遺贈は指定された財産を相続すること・包括遺贈は一定の割合の財産を相続すること
  • 死因贈与は「契約」であり遺贈の場合のような厳格な方式に従わなくてよい
  • 遺贈と違って「相続させる」旨の遺言は所有権移転登記の申請手続きが簡単に行える

以上、遺贈について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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