コラム

COLUMN
2021.11.05

【相続の対策】相続税の税額控除と控除対象

相続税はすべての相続人が使える基礎控除のほかに、一定の要件を満たすことで税負担を軽くできる制度があります。

相続税の控除は全部で6つあり、相続人の生活を守るための税額控除と二重課税を防ぐための税額控除があります。

この記事では、相続税の税額控除と対象者について日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

配偶者の税額控除

税額控除の中でも大きなものが、「配偶者の税額軽減」です。

配偶者の税額控除は、以下のどれかに当てはまる場合に適用されます。

  • 配偶者が取得した課税価格の合計額が1億6000万円まで
  • 配偶者の法定相続分まで

要するに、仮に配偶者が5億円の遺産を相続した場合でも、遺産相続の割合が法定相続分の範囲内なら相続税が課税されないということです。

配偶者の税額軽減の計算例

遺産総額が3億円、法定相続人は配偶者と子ども2人(合計3人)の場合を計算してみましょう。

遺産分割は法定相続分のとおりで、その他の特例は適用しないものとします。

相続税の総額を算出する

「遺産総額-基礎控除額=課税遺産総額」

基礎控除額:3000万+(600万円×3人)=4800万円

遺産総額3億円-4800万円=2億5200万円

課税遺産総額を法定相続分で各人にあん分する

「課税遺産総額×各人の遺産割合=各人の課税遺産総額」

配偶者:課税遺産総額2億5200万円×法定相続分2分の1=1億2600万円

子①:課税遺産総額2億5200万円×4分の1=6300万円

子②:課税遺産総額2億5200万円×4分の1=6300万円

税率をかけて税率に応じた控除額を引く

「各人の課税遺産額×税率-控除額=相続税額」

配偶者:課税遺産額1億2600万円×税率40%-控除額1700万円=相続税額3340万円

子①:課税遺産額6300万円×税率30%-控除額700万円=相続税額1190万円

子②:課税遺産額6300万円×税率30%-控除額700万円=相続税額1190万円

各人の相続税額を足し算して「実際の相続割合」であん分し、税額控除を差し引く

「各人の相続税の総額×各人の遺産割合-税額控除額=相続税の納税額」

各人の相続税の総額:配偶者3340万円+子①1190万円+子②1190万円=5720万円

配偶者:相続税の総額5720万円×遺産分割割合2分の1=2860万円

配偶者の相続割合が法定相続分以下なので税額は0円となります。

子①:相続税の総額5720万円×遺産分割割合4分の1=納税額1430万円

子②:相続税の総額5720万円×遺産分割割合4分の1=納税額1430万円

配偶者の税額軽減を適用するための4つの要件

配偶者の税額軽減を適用するためには以下の4つの要件を満たす必要があります。

①戸籍上の配偶者であること

婚姻期間の長さは問われず、戸籍上の配偶者であれば税額軽減が適用されます。

事実婚の場合には適用できません。

②相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること

配偶者が実際に受け取った遺産額に基づいて計算するため、相続税の申告期限までに遺産分割が完了している必要があります。

原則として申告期限は相続が発生した日の翌日から10ケ月以内です。

申告期限までに分割が間に合わない場合、その旨を税務署に申し出て、所定の手続きを行えば実際に分割された時点で適用することができます。

③相続税の申告書を税務署に提出すること

配偶者の税額軽減を適用して相続税が0円になった場合にも、相続税の申告書の提出をしなければなりません。

④配偶者の取得財産に隠ぺい・仮装行為によるものがないこと

隠ぺい・仮装された財産は適用除外になるため適正な申告が不可欠です。

贈与税の税額控除

生前、被相続人から贈与を受けて贈与税を支払っていた場合、被相続人の死亡後の相続税の計算はどうなるのでしょうか?

相続税の計算では、相続などにより財産を取得した人が被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けている場合、相続税の課税価格に贈与財産の価額を足す必要があります。

ただし、贈与を受けている時点で贈与税を支払っているのに、さらに相続時の計算に含めると二重払いになってしまいます。

そのため、過去3年以内に支払った贈与税については相続税の計算で控除できることになっています。

控除できる贈与税額は、相続税の課税価格に加算された贈与財産にかかった贈与税の税額です。

ただし、加算税・延滞税・利子税がある場合、これらの額は含まれません。

なお、被相続人から税全に贈与された財産でも、以下の財産は相続税の計算上、原則として加算する必要はありません。

  • 居住用不動産にかかる贈与税の配偶者控除の特例を受けている、または受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額
  • 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額
  • 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額
  • 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額

未成年者の税額控除

未成年者が相続する場合の代理人の立て方と税額控除について解説します。

親権者も相続人である場合は特別代理人を申し立てる

通常、被相続人が亡くなると相続人になる人が遺産分割協議を行います。

しかし法律上、相続人が未成年の場合は十分な判断能力が備わっていないと考えられるため、遺産分割協議に参加することができないとされています。

そこで、代理人を立てて遺産分割協議を行います。通常は親権者が代理人になりますが、親権者も相続人である場合、利益が相反するため代理人となることはできません。

そのため、親権者が家庭裁判所に「特別代理人」を申し立て、遺産分割協議を行う必要があります。

特別代理人は相続人でない成人なら誰でも構いません。また、特別代理人は相続人1人につき1人ずつ選任する必要があります。

未成年者の税額控除について

相続人が未成年の場合、未成年者控除を使うことで税額の負担を軽くすることができます。

控除額は「その未成年者が満20歳(成人年齢が18歳となる令和4年4月1日以後は満18歳)になるまでの年数×10万円」が上限です。1年未満の期間は切り上げとなります。

未成年者の相続税額から控除しきれない場合は、扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。

障がい者控除

相続人の中に障がい者がいる場合、障がい者の税額控除が受けられます。

障がい者控除は被相続人の死後、健常者よりも多額の医療費や療養費を負担する障がい者の特殊な事情を考慮して設けられた制度です。

控除を受けられる要件は、被相続人の死亡日現在で満85歳未満の障がい者となります。

障がいの程度によって受けられる控除額の上限が異なります。

一般障がい者の場合・・・10万円×障がい者が満85歳になるまでの年数
特別障がい者の場合・・・20万円×障がい者が満85歳になるまでの年数

相次相続控除

10年以内に連続して相続が発生した場合、最初の相続でかかった相続税の一部を、2回目の相続の相続税から控除できるという制度です。

比較的短期間のうちに相続が相次いだ場合、相続税の負担が重くなるうえ、長期間相続の開始がなかった場合と比べて相続税の負担が増えてしまうことから、この制度によって相続税の負担を調整しています。

相次総額控除の計算方法
A×C/(B+A)×D/C×(10-E)/10=各相続人の相次増額控除額
A:今回の被相続人が前の相続の際に課せられた相続税額
B:被相続人が前の相続の時に取得した純資産価額
C:今回の相続財産額総額
D:今回のその相続人の純資産価額
E:前の相続から今回の相続までの期間(1年未満の期間は切り捨て)

外国税額控除

外国税額控除とは、被相続人の財産が外国にあり、その財産について外国で相続税のような税金を支払った場合に日本での税額が控除されるという制度です。

以下のいずれか少ない金額を相続税から控除します。

  • 外国で支払った相続税に相当する税額
  • 日本の相続税額×国外財産の価額÷相続財産の総額

相続税の税額控除と対象者のまとめ

  • 相続人の生活を守るための税額控除と二重課税を防ぐための税額控除がある
  • 相続税を申告する前に相続税の控除対象にあたるか把握しておくといい

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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