コラム

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2021.11.26

【相続の対策】相続手続きを回避できる遺言代用信託のメリット

遺言代用信託は、遺言書を作成せずとも指定された人に財産を引き継ぐことができます。煩雑な相続手続を回避するために利用する人も少なくありません。

遺言代用信託の活用をするためにも、メリット・デメリットを把握しておきましょう。

この記事は、相続手続きを回避できる遺言代用信託のメリットについて、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

遺言代用信託とは何か?

遺言代用信託は、生前に自身(委託者)の財産を他人(受託者)に信託して、生存中は委託者自身を受益とします。

そして、自身が死亡した後は子や配偶者等を受益者とすることで、自身の死亡後における財産分配を達成しようとする契約です。

遺言代用信託は、生前行為をもって自身の死亡後の財産承継を図る死因贈与契約と類似しています。

遺言代用信託には、以下の2種類があります。

  • ①委託者の死亡のときに受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託
  • ②委託者の死亡のとき以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託
遺言代用信託契約書の必要書類と手続きの流れ
作成書類 遺言代用信託契約書
添付書類 公正証書で作成する場合は委託者と受益者の戸籍謄本(全部事項証明書)・委託者と受託者の印鑑証明書等
作成時期 任意
作成者 委託者および受託者(公正証書で作成する場合は公証人に嘱託)
作成場所 公正証書で作成する場合は公証役場
作成費用 公正証書で作成する場合は目的価額に応じた所定の手数料

遺言代用信託のメリット・デメリット

遺言代用信託には相続の手続きを回避できる他にもさまざまなメリットがあります。一方、信託できる財産は金銭のみなど、注意すべき点についても知っておきましょう。

メリット=相続手続の手間を回避できる

遺言代用信託は、煩雑で時間のかかる相続手続を回避するために利用されることが少なくありません。

たとえば、法定相続の場合、死亡により金融機関が凍結した預貯金の払戻しを受けるには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等を揃えて金融機関に提出しなければなりません。

しかし、遺言代用信託では財産は生前に受託者に信託されているため、このような手続は要りません。

また、相続手続にはある程度の時間が必要ですが、遺言代用信託を設定しておけば、死亡直後に必要となる葬儀費用や遺族の生活費等を確保することができるのです。

遺言代用信託によって、相続手続を経ずとも被相続人の死亡後すぐに、自身の葬儀費用や配偶者の生活費等を信託財産から工面することができます。

遺言代用信託にはこのようにさまざまなメリットがあります。

そのため、信託銀行等が提供する遺言代用信託商品の利用件数は飛躍的に増加しているといいます。

こうした商品は金銭信託で、委託者が年金の不足額を補う定期金や思いがけない出費の必要が生じたときの一時金等を受領する受益権を自ら取得します。

そして、委託者が死亡すると、直ちに遺族等に受益権を承継させ、委託者の葬儀費用や遺族等の生活費として金銭を給付させる等の仕組みとなっています。

もちろん遺言代用信託は、信託銀行等だけではなく家族が受託者となることもできます。

また、専門職が委託者の死後事務の委任を受けて、その一環として受託することもあり得るでしょう。

デメリット=信託できる財産は金銭のみ

遺言代用信託で信託できるのは金銭のみであり、不動産や株式などの財産は信託できません。

また、信託できる金額には最低額や上限が設けられています。預貯金が多額である場合は遺言代用信託だけで引き継ぎを完結させることはできないでしょう。

また、銀行によっては契約時に多額の手数料が必要となる場合もありますが、遺言代用信託は原則として中途解約をすることができません。解約する場合は解約手数料がかかります。

遺言代用信託の利用は、あらかじめ相続財産の全体を把握した上で検討する必要があるでしょう。

遺言代用信託と遺言信託の違い

遺言代用信託と似ているものに遺言信託があります。

  • 遺言信託とは・・・特定の者に対し財産の譲渡・担保権の設定その他の財産の処分をする旨、ならびに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理または処分およびその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法による信託のこと

このように遺言信託はあくまでも遺言です。民法で定められた厳格な方式を遵守しなければ無効になってしまいます。

これに対して遺言代用信託は契約なので、そのような規律はありません。

また、遺言信託では遺言執行手続が必要となります。そのための時間を要し、かつ遺言執行に際して利害関係人との間でトラブルが生じるリスクがあります。

これに対して遺言代用信託では、遺言執行手続は不要となります。

相続税の納付と時期について

信託においては、信託財産に属する財産の引渡しやその他の信託財産に係る給付を受ける債権等を所有しているのが受益者であり、かつ信託財産から生ずる利益を受託者が享受することが認められないことから、納税義務は受益者が負うのが基本です。

もっとも、遺言代用信託は、契約締結時点では委託者と受益者が同一であることから、税法上財産の譲渡が生じず、課税されません。

委託者の死亡後に受益者が委託者から受益権を遺贈されたものとみなされ、相続税の対象となります。

遺留分侵害額請求権との関係

遺言代用信託は、生前行為によって自身の死亡後における財産分配を達成しようとするものです。

死因贈与と機能が類似していることから、遺留分侵害額請求の対象になります。

したがって、将来における遺留分をめぐるトラブルを回避するために、他の相続人には別途、遺留分以上の財産を残すことを検討するといいでしょう。

相続手続きを回避できる遺言代用信託のメリットに関するまとめ

  • 遺言代用信託のメリットは被相続人の死亡後、煩雑な相続手続を経なくとも自身の葬儀費用や配偶者の生活費などの費用を工面できること
  • 遺言代用信託のデメリットは信託できる財産が金銭のみで、契約の手数料がかかること
  • 遺言代用信託は契約なので、民法で定められた厳格な規律がない
  • 相続税は財産を引き継いでから発生する

以上、相続手続きを回避できる遺言代用信託のメリットについて解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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