コラム

COLUMN
2021.11.29

【相続の手続き】法定情報証明制度の利用手続きと活用法

平成29年に新設された法定相続情報証明制度では、登記所(法務局)に戸籍謄本等と相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すると、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付してもらえます。

この制度を利用するには、どのような手続が必要なのでしょうか。

この記事は、法定情報証明制度の利用手続きと活用法について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

法定相続情報一覧図の写しを取得するには

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書に必要事項を記入し、戸除籍謄本等の必要書類と一覧図を添付して管轄登記所へ申出の手続をしましょう。

交付された一覧図の写しは、相続登記手続・預貯金の相続・相続税の申告等さまざまな手続に利用できます。

一覧図の写しは、相続手続に必要な範囲で複数通の交付を受けることができます。

申出日の翌年から起算して5年間保存され、その間は再交付の申出をすることができます。

法定相続情報一覧図の取得に必要な書類と交付の流れ

作成書類 法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書
添付書類

<必ず添付する書類>
・法定相続情報一覧図

・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)および除籍謄本(除籍全部事項証明書)等

・被相続人の最後の住所を証する書面(被相続人の住民票の除票等または被相続人の戸籍の附票)

・相続人全員の現在の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)または戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)

・申出入が相続人の地位を相続により承継した者であるときは、これを証する書面(代襲相続人が申出入となる場合。代襲者であることを証する戸籍謄抄本等)

・申出書に記載されている申出入の氏名および住所と同一の氏名および住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該申出入が原本と相違がない旨を記載した添付書類謄本を含みます。)(運転免許証の写し・マイナンバーカードの表面の写し・住民票の写し(住民票記載事項証明書)・届出避難場所証明書などのいずれか1通)

<必要に応じて添付する書類>
・各相続人の住民票の写し(住民票記載事項証明書)(法定相続情報一覧図に相続人の住所の記載を希望する場合)

・代理人によって申出をするときは、当該代理人の権限を証する書面(親族が代理人となるときは、委任状および親族関係にあることが分かる戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)等(ただし、必ず添付することとなる被相続人の戸除籍謄本または相続人の戸籍謄抄本等により、親族関係にあることが分かる場合には不要)。資格者代理人により申出をする場合は、委任状および所属団体所定の身分証明書の写し等)

申出時期 随時
申出者 被相続人の相続人(相続人の地位を相続により承継した者(代襲相続人)を含みます。
申出先

以下のいずれかを管轄する登記所(法務局)
・被相続人の(最後=死亡時の)本籍地または最後の住所地申出先 ・申出入の住所地

・被相続人を表題部所有者または所有権の登記名義人とする不動産(被相続人名義の不動産)の所在地

法定相続情報一覧図を利用できる手続

法定相続情報一覧図は、法務局における不動産の相続登記手続に利用できるほか、被相続人名義の不動産がない場合でも、以下のような手続に利用することができます。

  • 金融機関における預貯金等の相続による名義書換等の手続
  • 証券会社における株式等の相続による名義書換等の手続
  • 保険会社における相続にともなう保険金請求等の手続
  • 税務署における相続税の申告手続
  • 日本年金機構における相続による年金等手続

相続税の申告手続についても法定相続情報一覧図の写しを利用できます。

しかし、被相続人と相続人との関係を系統的に図示したものであって、被相続人の子が実子または養子のいずれであるかが記載されたものであることが必要です。

なお、一覧図への記載に際しては、「実子」という表現は、実子とみなされる者(特別養子)を含むかどうかが明確になっているとはいえないのが現状です。

そのため現時点では、「実子」と記載するのではなく「戸籍に記載される続柄」(「長男」・「長女」など)または「子」と記載する取扱いになっています。

裁判所における諸手続(相続放棄の申述・相続財産管理人選任の申立て・遺産分割調停等の申立て遺言書の検認申立て等の各手続)については、現時点では統一的な取扱いルールはありません。

裁判所ごとに暫定的かつ一応の取扱いルールを定めているにとどまっています。

法定相続情報一覧図の写しの交付

相続手続に必要な範囲で複数通の交付を受けることができ、申出日の翌年から起算して5年間保存されます。その間は再交付の申出をすることが可能です。

なお、当初の申出入以外の相続人は、再交付の申出をすることはできません。

作成書類 法定相続情報一覧図の再交付の申出書
添付書類 委任状
申出時期 法定相続情報一覧図の交付の申出をした日の翌年から起算して5年間
申出者 当初の申出人もしくは当初の申出人から委任を受けた者

申出先

申出をした登記所(法務局)

当初の申出入以外の相続人が一覧図の写しの再交付を受けたいときは、以下の2通りの方法があります。

  • 当初の申出入から再交付の申出に係る委任を受けて行う
  • 自ら新たに法定相続情報一覧図の保管および一覧図の写しの交付の申出をする

法定相続情報証明制度の概要について

法定相続情報証明制度は、平成29年5月29日に施行された不動産登記規則の一部を改正する省令によって創設された制度です。この制度を概要を紹介しましょう。

相続登記を促進するために創設された法定相続情報証明制度

この制度は、相続登記を促進する趣旨で創設されたものです。

法定相続情報証明制度を利用することで、相続人の相続手続における負担の軽減、そして、本制度を利用する相続人に相続登記を促す直接的なきっかけとなり、今後生じる相続に係る相続登記が放置されることを抑止します。

郵送料・手数料の他に費用は掛からない

法定相続情報証明制度は無料で利用することができます。

ただし、戸籍等の取得や郵送による手続に要する所定の手数料または郵送料は必要です。

代理人による申出は可能かどうか

法定相続情報一覧図の保管およびその写しの交付の申出は、成年後見人・特別代理人・相続財産管理人等の法定代理人のほか、委任を受けた代理人が行うことも可能です。

ただし、委任による代理人となることができるのは、申出入の親族※または資格者代理人(弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士のこと)に限られています。

※申出入の親族
申出入の6親等内の血族・申出入の配偶者・申出入の3親等内の姻族のことをいいます。

連名による申出もできる

複数の相続人が連名で申出をすることもできます。

この場合には、いずれか1人の住所地を管轄する登記所に申出をすることができます。しかし、申出の取り止めは連名の申出入全員からしなければなりません。

旧民法下の相続での利用に関して

旧民法(明治31年法律9号)に基づく相続(昭和22年5月2日までの間に生じた相続)についても、法定相続情報一覧図の保管および一覧図の写しの交付の申出をすることができます。

日本国籍を有しない場合の利用はできない

法定相続情報一覧図の保管の申出には、被相続人および相続人の戸除籍謄本等の添付が必須となります。

そのため、被相続人が日本国籍を有しない場合や、相続人の中に1人でも日本国籍を有しない者がいる場合は、一覧図の保管およびその写しの交付の申出をすることはできません。

ただし、帰化した者については、戸籍謄本・抄本または記載事項証明書の添付をすることができるため、一覧図の保管およびその写しの交付の申出をすることができます。

再度の申出はどのような場合に可能か

被相続人の死亡時に遡り相続人の範囲に変更が生じる場合、たとえば、被相続人死亡後の子の認知、被相続人死亡時胎児であった者の出生、一覧図の交付後における廃除があった場合等には、当初の申出入は、再度法定相続情報一覧図の保管およびその写しの交付の申出をすることができます。

一覧図の形式

法定相続情報一覧図は、住所、氏名その他の項目を列挙する形式により作成することもできます。

法定相続情報証明制度の活用で期待されること

この制度の活用により、相続登記が促進されると現在課題となっている所有者不明土地や空き家の増加問題の解消につながることが期待されています。

また、この制度により交付される法定相続情報一覧図の写しは、法定相続人が誰であるかを国の機関である法務局が確認した信頼できる情報とされます。

そのため、金融・証券・保険等さまざまな機関における各種の相続手続においても活用することができます。

その結果、従来であれば各種の機関に手続をとるたびに必要とされた被相続人の出生~死亡に至るまでの戸除籍謄本等の束を何度も出しなおす煩雑な事務が大幅に削減されることに。

不動産の相続登記の促進のみならず、預貯金の払戻しをはじめとするさまざまな場面において、各種相続手続の負担の軽減に役立つ制度として、長きにわたり幅広く活用されていくでしょう。

法定相続情報証明制度の利用範囲の拡大

平成29年6月9日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」では、相続登記の更なる促進のため、「法定相続情報証明制度の利用範囲を拡大する」ことが明記されました。

これを受けて、法定相続情報一覧図の記載内容の充実化等が図られることとなり、平成30年4月1日から実施されることになりました。

具体的には、一覧図の写しに相続人の住所が記載されているときは、当該写しをもって相続登記等における住民票等の提出に代えることができるものとされます。

また、被相続人の最後の住所に並べて、最後の本籍も記載することを推奨することで相続手続での利便性の向上が図られるとともに、被相続人との続柄の記載をすることができるものとされたことで、税務署に対する相続税の申告での利用も可能となりました。

法定情報証明制度の利用手続きと活用法まとめ

  • 法定相続情報証明制度は相続登記を促すために創設された制度で、煩雑な事務手続の負担を大幅に減らすことができる
  • 交付を受けた法定相続情報一覧図は相続登記・預貯金の相続・相続税の申告等さまざまな手続きに利用できる
  • 一覧図の写しは相続手続に必要な数だけ交付を受けられ、申出日の翌年から起算して5年間保存される間は再交付の申出も可能

以上、法定情報証明制度の利用手続きと活用法について解説しました。

相続手続き代行サービスはこちら

行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

CONTACT

まずはお気軽にご相談ください

電話で相談する
Tel.042-843-4211
メールで相談する
お問い合わせはこちら

(本社)東京都日野市豊田3-40-3 レジェイドサザンゲート1F

(新宿支店)東京都新宿区西新宿7-2-6 西新宿K-1ビル3F