コラム

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2021.12.04

【相続手続き】相続人不存在の場合の債務の弁済

相続人不存在の被相続人と利害関係があった場合、被相続人の債権者が財産から債務の弁済を受けるためには、どのような手続きが必要なのでしょうか?

この記事は、相続人不存在の場合の債務の弁済について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

相続財産管理人の選任を申し立てる

相続開始後、相続人の存在が確認できない場合には、相続財産は法人とみなされます。

検察官または利害関係人の請求によって家庭裁判所は相続財産管理人を選任するので、相続財産から債権を回収したい場合、まずは相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。

相続財産管理人とは、相続人がいない場合に遺産を管理する人のことをいいます。

作成書類 相続財産管理人選任審判申立書(相続人不存在の場合)
添付書類

・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

・被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

・被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

・被相続人の直系尊属の死亡している者がいる場合、そのおい・めいの死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

・被相続人の住民票除票または戸籍附票

・財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金および有価証券の残高が分かる書類等(通帳写し・残高証明書等)

・申立人の利害関係を証する資料(金銭消費貸借契約書写し等)

・相続関係図

・相続放棄申述受理証明書

申立費用 収入印紙800円、予納郵便切手(各裁判所の定めるところによる)、官報広告料4,230円

相続財産管理人選任が認められるための要件は以下のとおりです。

要件①=相続の開始

相続は被相続人の死亡により開始しますが、この死亡には被相続人の自然死のみならず、失踪宣告による擬制死亡(実質は違うが死亡したとみなされること)も含まれます。

要件②=相続人がいない

相続人がいないというのは、以下のような場合をいいます。

  • 戸籍上相続人が存在しない場合
  • 戸籍上相続人はいるものの、相続欠格・廃除によって相続人の相続資格が失われ、または相続放棄によって初めから相続人にならなかったものとみなされる場合
  • 法定相続人の相続資格が失われた結果、相続人が存在しない場合

また、相続財産全部の包括受遺者がいる場合には相続財産管理人は選任されないとしています。

要件③=相続財産の存在

少額の財産しか存在しない場合や、消極財産しか存在しない場合でも相続財産法人が成立するとされています。

しかし、相続財産管理人を選任するためには、相続財産に印紙代・郵券・公告費用・管理人報酬等の手続費用をかけて処理するだけの価値があることが必要とされます。

誰が申立人になれるのか

相続財産管理人の選任は、利害関係人または検察官が申し立てます。

利害関係人とは、相続財産について法律上の利害関係を有する者のことです

しかし、相続財産を管理人のいないまま放置するのはよくないと考えられているので、実際には広い範囲で申立てが認められています。

利害関係人の例として挙げられるのは、以下のとおりです。

  • 特別縁故者として財産分与を主張したい者
  • 債権を回収したい債権者
  • 抵当権を実行したい抵当権者
  • 相続財産の時効取得を主張したい者
  • 事務管理者
  • 相続財産を買収したい国
  • 地方公共団体等
  • 相続財産から徴税したい国や地方公共団体

予納金の額について

相続財産管理人を選任する際、家庭裁判所は申立人に費用の概算額を予納させるのが一般的です。

予納金は、家庭裁判所の行う管理人選任公告・相続人捜索の公告の費用・管理人報酬等に充てるために必要となります。

予納金の額については50万円から100万円とする裁判所が多いようですが、事情によってはこれより少額で済む場合もあります。

相続財産管理人による清算手続き

相続財産管理人は、債権者・受遺者に対する請求申出の公告および相続人捜索の公告により相続人を捜索します。

それとともに、相続財産法人に属する資産および負債を清算します。

残った財産は特別縁故者に分与、または国庫に帰属させることになります。

相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告

相続財産管理人が選任されると、3度の公告がなされます。

  • 相続財産管理人選任の公告
  • 債権者・受遺者に対する請求申出の公告
  • 相続人捜索の公告(清算を終えてなお財産が残るとの見込みがある場合6か月以上の催告期間を定めて行う)

相続財産管理人選任の公告後2か月以内に相続人が現れなかった場合、相続財産管理人は相続債権者・受遺者に対し請求申出の公告(官報に掲載)をします。

相続財産管理人は、すべての債権者・受遺者に対し2か月以上の期間を定めて、期間内に請求の申出をすること、この期間内に請求申出がなければ清算から除斥されることを公告します。

官報掲載は官報販売所に対し、催告書を提出して申し込みます。

相続財産管理人は、相続債権者および受遺者に対し請求申出の公告をする一方、これを知った債権者・受遺者に対しては各々に請求を申し出るよう催告する必要があります。

催告の方法については、催告書を配達証明郵便で送付するのが一般的です。

作成書類 相続債権者・受遺者への請求申出の催告書
提出先 官報販売所
提出費用 官報公告料1行3,589円

相続財産管理人に対する請求申出について

相続債権者・受遺者が相続財産管理人から弁済を受けるためには、請求申出期間内に相続財産管理人に請求を申し出ます。

申出の方式について決まりはありませんが、通常の場合は債権申出書を提出するよう相続財産管理人より指示があるでしょう。

作成書類 債権申出書
添付書類 債権疎明資料
申出時期 相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告期間満了まで

相続債権者・受遺者に対する弁済の順序

相続財産管理人は、請求申出期間が満了すると相続債権者および受遺者に対して相続財産をもって弁済しなければなりません。弁済の順序は、

  • ①優先権を有する債権者
  • ②請求申出期間内に請求申出をした一般債権者・相続財産管理人に知れたる一般債権者
  • ③受遺者

の順となります。

租税債権・一般先取特権などの担保権を有する債権については、相続財産から優先的に弁済を受けることになります。

優先債権者に対する弁済後、残った財産があれば一般債権に対する弁済が行われます。

その場合、全額弁済できなければ配当弁済となります。

また、条件付債権や存続期間不確定の債権については、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従っての弁済になります。

請求申出期間内に申し出なかった債権者・受遺者への対応

請求申出期間内に請求の申出をせず、かつ、相続財産管理人に知れなかった債権者および受遺者は弁済から除斥されます。

弁済がなされた後、なお財産が残っているのであれば、相続人捜索の公告期間内に請求申出をすれば残余財産から弁済を受けることができます。

しかし、相続人捜索の公告期間が経過することによって債権者・受遺者の権利は消滅するので、その後は申し出ても弁済はされません。

相続人不存在の場合の債務の弁済に関するまとめ

  • 相続人のない相続財産から債権を回収するためには相続財産管理人の選任を申
    し立てる
  • 相続財産管理人は相続債権者・受遺者を確定するため請求申出の催告をする
  • 債権者は相続財産管理人に対して債権届を提出し相続財産から弁済を受けること
    ができる

以上、相続人不存在の場合の債務の弁済について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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