コラム

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2021.12.06

【相続手続き】建て替えた葬儀費用を相続人のいない財産から返してもらうには?

亡くなった知人に身寄りも相続人もいなかったため、代わりに葬儀費用等を立て替えたという場合、故人の貯金の中から葬儀費用を受け取ることはできるのでしょうか?

この記事では、建て替えた葬儀費用を相続人のない財産から返してもらう手続きの方法について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

相続財産管理人選任の審判申立て

相続人のいない相続財産から葬儀費用等の立替金を返してもらいたいときは、まず相続財産管理人の選任を申し立てましょう。

相続財産管理人選任審判申立書作成に必要な書類と費用は以下のとおりです。

作成書類 相続財産管理人選任審判申立書
必要書類

・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

・被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

・被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

・被相続人の兄弟姉妹で死亡している者がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

・代襲者としてのおい・めいで死亡している者がいる場合、そのおい・めいの死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

・被相続人の住民票除票または戸籍附票

・財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金および有価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書等)

・立替金を証する資料

・財産管理人の候補者がある場合にはその住民票または戸籍附票

・相続関係図

※その他各裁判所の定めによって、身分関係についての資料・手続の円滑な進行を図るために必要な資料の提出を求められる場合があります

申立時期 随時
申立人 利害関係人または検察官
申立先 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所
申立費用 収入印紙800円、予納郵便切手(各裁判所の定めるところによる)、官報公告料4,230円

葬儀費用弁済のために裁判所から権限外行為の許可を得る

相続人のいない人の財産から葬儀や祭紀法事費用を立て替えてもらうには、裁判所から権限外行為の許可を得るための審判を申し立てます。

権限外行為の許可を得る審判を申し立てるまでの流れと考え方について説明していきましょう。

葬儀費用の立て替えについて

相続人のいない人が亡くなった場合、親族や知人が葬儀費用を立て替えたり、墓地や墓石の購入費用・永代供養料・法要費用などの祭託費用を立て替えたりする場合があります。

葬儀費用については、誰が負担すべきかについて諸説ありますが、社会的に相当と考えられる葬儀費については相続債務として相続財産から支払われるべきものと考えられます。

したがって、相続財産管理人は葬儀費用を立て替えた者から支払の請求があった場合、裁判所の許可を受けずに相続財産より支払うことができます。

しかし、一口に葬儀費と言ってもその内容は千差万別であるため、相続財産管理人として、どの範囲までの葬儀費を相続財産から支払うべきかの判断はおそらく難しいでしょう。

そこで、相続財産管理人が相続財産から葬儀費用を支払う場合には、裁判所に権限外行為の許可を得るため審判を申し立てるのが通常です。

祭紀法事費用の立て替えについて

祭紀法事費用については、法事等を執り行う者が支払うべきと考えられていますが、被相続人としても、祭紀法事くらいは行ってもらいたいと思うはずです。

よって、相続財産から祭紀法事費用を支払ってもらいたいというのが被相続人の遺志と推測されます。

そこで、相続財産より祭紀法事費用が支払われる場合があります。

祭紀法事費用等の支払は相続財産の処分に当たるので、相続財産管理人は権限外行為の許可を得るため審判を申し立てることになります。

権限外行為許可の審判申立書を作成する

これら葬儀費用・祭紀法事費用の支払について権限外行為許可の審判申立てを受けた裁判所は、葬儀や祭紀法事の内容・費用の額・被相続人の意思等を考慮して、相続財産から支払うべきかどうかを決めます。

権限外許可の審判が下されると、相続財産管理人は葬儀費用や祭紀法事費用を立て替えた者に支払うことになります。

相続財産管理人の権限外行為許可審判申立書作成に必要な書類と費用は以下のとおりです。

作成書類

相続財産管理人の権限外行為許可審判申立書

必要書類

立替金の証明資料
・立替人の住民票(または法人登記簿謄本(登記事項証明書))

※その他各裁判所の定めるところにより、身分関係についての資料・手続の円滑な進行を図るために必要な資料の提出を求められる場合があります

申立時期 相続財産清算後随時
申立人 相続財産管理人
申立先 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所
申立費用 収人印紙800円、予納郵便切(各裁判所の定めるところによる)

立て替えた葬儀費用を相続人のない財産から返してもらう方法まとめ

  • 相続人のない財産から葬儀費用等の支払を受けたい場合は相続財産管理人の選任を申し立てる
  • 相続財産管理人がその認定により、あるいは権限外行為許可の審判を申し立てて、葬儀費用を支払う

以上、立て替えた葬儀費用を相続人のない財産から返してもらう方法について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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