建設業界において需要が増え続けている業種の一つが「解体工事業」です。老朽化した建物や空家等の解体、再開発事業、相続による不動産売却など、解体工事は都市の再生や整備に欠かせない業種です。
特に東京都では、再開発や建て替えが活発に行われており、解体工事業者の活躍の場が広がっています。しかし、解体工事を行うには、一定の要件を満たし、適切な手続きを経て「解体工事業登録」を行う必要があります。
この記事では、東京都で解体工事業登録を申請する方法について、行政書士が解説します。登録の要件、必要書類、申請方法、注意点、登録後の義務など、実務に役立つ情報を網羅的に紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
解体工事業登録とは?|建設リサイクル法との関係
解体工事業登録は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(通称:建設リサイクル法)に基づいて導入された制度です。
この法律における解体工事とは、建築物(本体の床面積の減少するものを含む)又は建築物以外の工作物を除去するために行う工事のことをいいます。
解体工事業登録を必要とする者
次の内容に該当する工事を請負う営業をする場合、元請、下請に関わらず解体工事業の登録をする必要があります。
- 建築物全部の解体
- 建築物一部の解体
- 屋根版の全部交換
ただし、土木工事業、建築工事業、解体工事業の建設業許可を受けている事業者の場合は、解体工事業の登録を受けていなくても解体工事を請負うことができます。なお、請負金額が税込500万円以上の解体工事については、解体工事業の建設業許可を受けた事業者しか請負うことができないため注意が必要です。
とび土工の建設業許可と解体工事の関係
令和元年5月31日までは、とび土工工事業の建設業許可を受けている事業者も解体工事業登録が不要でしたが、建設業許可において解体工事業という業種が独立して定められた流れから、令和元年6月1日以降は、とび土こと工事業の建設業許可で解体工事を請負うことができなくなりました。
解体工事業登録の要件
解体工事業登録では、技術管理者を選任することが求められていて、以下のいずれかに該当すれば要件を満たします。
- 1級建築士
- 2級建築士
- 技術士(建設部門)
- 解体工事施工技士
- 1級建設機械施工技士
- 2級建設機械施工技士(種別:第1種又は第2種)
- 1級土木施工管理技士2級土木施工管理技士(種別:土木)
- 1級建築施工管理技士2級建築施工管理技士(種別:建築又は躯体)
- 1級のとび又はとび工の技能検定合格者
- 2級のとび又はとび工の技能検定合格後1年以上の実務経験者
- 解体工事8年以上の実務経験者
- 指定学科の大学卒業後2年以上の実務経験者
- 指定学科の高校卒業後4年以上の実務経験者
解体工事業における指定学科
土木工学、建築学、都市工学、衛生工学、交通工学に関する大学卒業者は卒業後2年、高校卒業者は卒業後4年以上の解体工事の実務経験があれば技術管理者になることができます。
登録を受けられない条件(欠格事由)
技術管理者を選任できたとしても、次のいずれかひとつにでも該当する場合は、解体工事業の登録を受けることができません。
- ①解体工事業登録取消しから2年を経過していない者
- ②解体工事業の業務停止期間中の者
- ③解体工事業登録を取消された法人において、その処分日の前30日以内に役員であり、かつその処分日から2年を経過していない者
- ④建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑罰を受け、その執行が終わってから2年を経過していない者
- ⑤暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- ⑥解体工事業者が法人の場合で、役員のなかに、上記1~5のいずれかに該当する者がいるとき。
- ⑦解体工事業者が未成年で、法定代理人を立てている場合、法定代理人が上記①~⑤のいずれかに該当するとき。
- ⑧暴力団員等がその事業活動を支配する者
解体工事業登録新規申請の必要書類
解体工事業登録新規申請では、次の書類を提出します。
【法人の場合】
- 解体工事登録申請書
- 誓約書
- 登録申請者の調書 (法人分+役員全員分)
- 技術管理者の住民票
- 技術管理者の要件確認書類
・資格証明書
・学卒者は卒業証書
・実務経験証明書 - 履歴事項全部証明書
- 役員全員の住民票
- 役員等氏名一覧表
- 営業所の登記事項証明書又は賃貸借契約書
※営業所が登記上の所在地と異なる場合
【個人事業主の場合】
- 解体工事登録申請書
- 誓約書
- 登録申請者の調書 (申請者分)
- 技術管理者の住民票
- 技術管理者の要件確認書類
・資格証明書
・学卒者は卒業証書
・実務経験証明書 - 事業主本人の住民票
- 役員等氏名一覧表
- 営業所の登記事項証明書又は賃貸借契約書
※営業所が住民票と異なる場合
申請先の窓口
東京都都市整備局市街地建築部建設業課(都庁第二本庁舎3階南側)が申請窓口です。
なお、申請手数料45,000円がかかります。
審査期間は概ね1か月程度です。問題がなければ、登録通知書が発行され、東京都解体工事業者登録名簿に記載されます。
登録後の義務と更新手続き
解体工事業登録が完了したら、事業所・工事現場に「登録票」を掲示する必要があります。表示内容には、登録番号や氏名(商号)、有効期限などが含まれます。
行政書士に依頼するメリット
解体工事業登録の手続きは、書類の収集・作成・窓口での申請など、手間と労力がかかります。特に実務経験の証明における技術者要件の確認は、専門知識が求められる部分です。
行政書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 要件確認を任せれる
- 書類作成の手間を削減できる
- 都庁にいかなくて済む
- 不備による申請のやり直しを防げる
- スピーディーに登録が完了する
「本業が忙しくて手続きをする時間がない」「登録要件を満たしているか不安」といったお悩みをお持ちの方は、行政書士への依頼をご検討ください。
東京都で解体工事業登録を行うなら専門家に相談を
東京都で解体工事業を行うためには、建設リサイクル法に基づく登録制度に従って、適切な申請手続きを行う必要があります。申請には技術者の資格や実務経験、必要書類の整備など、複雑な要件があります。
登録後も、表示義務や変更届、更新手続きなど、継続的な義務が課されます。これらを怠ると行政処分の対象になることもあるため、適切な管理が求められます。
解体工事業登録に不安がある方は、建設業手続きを専門とする行政書士法人ストレートにご相談ください。スムーズな登録をサポートし、貴社の事業拡大をバックアップいたします。
※本記事は2025年6月時点の情報をもとに作成しています。制度の変更がある場合がありますので、最新の情報は東京都都市整備局または行政書士にご確認ください。