コラム

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2023.05.29

【相続対策】配偶者居住権&配偶者短期居住権とその違いについて

相続法改正によって、2020年4月1日以降に発生した相続から新たに認められる権利として、被相続人(故人)の配偶者の居住権を保護する制度が導入されました。改正前は、相続問題によって配偶者を亡くした生存配偶者が自宅に住み続けられなくなるケースが少なくなかったのです。

そこで設けられたのが、配偶者の居住権を長期的に保護する「配偶者居住権」と、短期的に生活の基盤である住居を奪われることがないようにする「配偶者短期居住権」の2つです。

これらの制度についてはもちろん、配偶者居住権が設けられた背景と、配偶者居住権と配偶者短期居住権の違いについて解説していきましょう。

この記事では、

  • 配偶者居住権&配偶者短期居住権とは何か?
  • 配偶者居住権&配偶者短期居住権の成立要件
  • 配偶者居住権&配偶者短期居住権が設けられた背景(改正前の問題点)
  • 配偶者居住権と配偶者短期居住権との違い

について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

配偶者居住権とはどのような制度なのか?

まずは配偶者居住権とは何か、また、配偶者居住権の成立要件ついて解説していきましょう。

亡くなった配偶者の所有する家に生存配偶者が一生住み続けられる権利

2020年4月に施行された配偶者居住権とは、生存配偶者に対して、亡くなった配偶者(被相続人)が所有していた住宅に原則として終身の間、無償で住み続ける権利を保障する制度です。

この制度によって、これまで不十分だった生存配偶者の居住権の保護や、生活保障の問題の改善が期待できるようになりました。

配偶者居住権の成立要件

配偶者居住権の成立要件は次のとおりです。

  • ①残された配偶者が被相続人の法律上の配偶者であること(内縁は認められない)
  • ②被相続人が所有していた建物に死亡当時居住していたこと
  • ③遺産分割・遺贈・死因贈与・家庭裁判所の審判で決定すること

配偶者居住権の成立が認められた生存配偶者は、配偶者居住権を登記することによって、第三者に自分が配偶者居住権を持っていることを主張できます。

一方、配偶者居住権を他人に譲渡することはできない他、建物の使用収益についても一定の制約を受けます。

配偶者短期居住権とは?

配偶者短期居住権とは、相続開始時点から比較的短期間の間、被相続人が所有していた住宅に生存配偶者が住み続けることを認める権利です。

配偶者短期居住権の成立要件や権利の存続期間、配偶者居住権との違いについて解説していきましょう。

権利の存続期間は限定されている

配偶者短期居住権の成立が認められると、生存配偶者は

  • ①遺産分割によって生存配偶者以外の人が建物を取得すると決まった日
  • ②相続開始時点から6か月を経過する日

どちらか遅い日までの間、建物に無償で住み続けることができます。生存配偶者は、最終的に建物から立ち退かなければならない場合でも、配偶者短期居住権の主張によって、被相続人の死亡後、ただちに立ち退く必要がなくなります。

配偶者短期居住権の成立要件

配偶者が短期居住権を取得するための要件は、相続が開始した時点で被相続人が所有していた住宅に、生存配偶者が無償で住んでいた状態が認められることです。

被相続人と同居していなくてもかまいませんが、お金を払わずに住んでいたことが必要です。

要件を満たすと自動的に権利が発生する

配偶者短期居住権は、要件を満たせば被相続人の意向に関係なく成立するので、被相続人が「自分の死亡後に生存配偶者が自分の住宅に住み続けることを拒否する」と示していても、配偶者短期居住権は認められます。

なお、配偶者短期居住権の場合も、譲渡が認められない他、建物の使用について一定の制約を受けます。

配偶者居住権と配偶者短期居住権の違い

配偶者短期居住権が配偶者居住権と違う点を、次の表にまとめています。

  配偶者居住権 配偶者短期居住権
配偶者居住権は終身まで権利が存続する 配偶者短期居住権は権利の存続期間が限定されている
配偶者居住権では遺産分割・遺贈・死因贈与・家裁の審判で決定される 配偶者短期居住権は成立要件を満たすと自動的に権利が発生する
配偶者居住権では登記が必要 配偶者短期居住権では登記することができない
配偶者居住権では建物全体が対象 配偶者短期居住権では建物の居住部分のみが権利の対象

改正前の問題点と配偶者居住権が設けられた背景

配偶者居住権の趣旨は、建物の価値を「所有権」と「居住権」に分けることにあります。

改正前では、たとえば被相続人の財産が自宅のみで相続人が複数人いるような場合、遺産分割協議の結果として生存配偶者とは異なる相続人が住宅を取得する可能性を否定できず、もし住宅を取得した相続人が生存配偶者が住宅に住み続けることを許さない場合、生存配偶者は自宅に住み続けられなくなってしまいました。

したがって、相続人が複数人いる中で自宅に住み続けるためには、被相続人が所有していた住宅の不動産の所有権を相続しなければならなかったのです。

すると、それだけで生存配偶者が持っている法定相続分に達してしまうので、他の財産(現金や預貯金債権など)の相続分を減らさなければならず、住宅以外の財産を取得することが困難になるという問題を抱えていました。

相続の制度は、被相続人の死亡後の相続人の生活保障という機能も持っています。住み慣れた住宅を確保できても、それ以外の生活の糧を手に入れることができなければ、生活保障の観点上、十分であるとは言えません。

ところが、建物の価値が「所有権」と「居住権」に分けられたことで、生存配偶者は自宅の所有権を他の相続人に譲っても、居住権のみ相続すれば自宅に住み続けることができる上、他の相続財産を相続することが可能になりました。

配偶者居住権&配偶者短期居住権とその違いまとめ

  • 改正前は生存配偶者の生活保障や居住権の保護が十分ではなかった
  • 配偶者居住権により、生存配偶者は居住権の他に、現金や預貯金債権などの相続財産も取得できるようになった
  • 配偶者短期居住権と配偶者居住権との違いは、存続期間に制限がある、要件を満たせば権利が自動発生する、登記できない、建物の居住部分のみが権利の対象である点

以上、配偶者居住権&配偶者短期居住権とその違いについて解説しました。

配偶者居住権に関する法務省Webサイトはこちら

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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