コラム

COLUMN
2021.10.25

【相続の基礎】相続財産評価とは

相続税を計算するためには相続財産のすべてを把握する必要がありますが、相続財産の評価を把握しなければ相続税の計算はできません。

財産の種類によって評価をする方法が異なっているので、それらを把握しておかなければ正確な評価を知ることができないのです。

この記事では、相続財産評価について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

相続財産評価の方法は財産の種類で異なる

財産は預貯金のように額面通りに評価が分かるものばかりではありません。

財産の種類によって評価をする方法は異なっており、正確な評価を把握するためには評価する方法を把握しておく必要があります。

しかし、評価の方法を知ったからと言って、すべての財産について自分で計算するのは無理があります。

評価する方法を知識として持っておき、実際に評価を調べるには税理士の手を借りることも有効な選択肢の1つです。

宅地の評価方法について

相続財産のうち宅地の評価は、市街地的形態を形成する地域にある宅地に関しては「路線価方式」という方法で評価します。また、それ以外の地域については「倍率方式」によって評価します。

路線価方式の評価

路線価方式では、まず宅地の面する路線ごとに定められた路線価を基礎として評価します。

路線価というのは、市街地的形態を形成する地域の不特定多数が通行する道路=路線に面する標準的な宅地1㎡あたりの土地評価額を意味します。

路線価の計算式は以下の通りです。

土地評価額=路線価(1㎡当たりの金額)×土地の広さ

たとえば、東京都品川区東品川1丁目周辺の天王洲運河沿いの路線価は40万円を下回ることはありません。(平成26年度国税庁財産評価基準書の路線価図・評価倍率表より)

対して、高知県安芸市清和町1丁目の海沿いの路線価は総じて2万円を切っています。

つまり20㎡の土地を高知県安芸市~の区域で相続しても、東京都品川区~の1㎡にも満たない評価しか受けません。

相続税の額面だけを考えるならば、高知県安芸市~の土地を相続するほうが安くて広い土地を相続できるというわけです。路線価はその年の公示価格の80%相当額とされています。

この路線価を基礎として、さらに奥行価格補正率・側方路線影響加算率・二方路線影響加算率などの画地調整率を使って評価額を算出するのが路線価方式です。

画地調整率=土地の形によってその評価額に調整を加えるための基準倍率。

奥行価格補正率=平均的な奥行きに比べて短かったり長かったりするときに適用される。

側方路線影響加算率=角地にあるか否かで評価額を調整する。

二方路線影響加算率=裏側にも路線がある場合の調整率。

このような調整率がほかにいくつかあり、それらを複合的に用いて評価額を算出します。

路線価図は国税庁のホームページ、あるいは各地の税務署にあるのでいつでも確認できます。

倍率方式の評価

倍率方式というのは、その宅地の固定資産税評価額に国税局長が定めた一定の倍率を乗じて計算した金額によって評価する方法です。

路線価のついていない場所では倍率方式が使われます。計算式は以下の通りです。

土地評価額=固定資産税評価額×倍率

たとえば前述した東京都品川区では全域に路線価がついているのに対し、高知県安芸市清和町の路線価の付いていない宅地の倍率は固定資産税評価額×1.1が評価額となっています。

つまり、品川区ではすべての宅地の評価が路線価方式によって行われるため、倍率方式は使われません。

  • 有用性の高い土地に高い評価額が下される
  • 有用性は国によって判断されている

この2点を押さえておけば、宅地の評価についての基本を理解できたことになります。

土地評価額を決める4つの公示価格

土地評価額を決める4つの公示価格を一覧表にまとめて紹介します。

名称 決定機関 価格の基準日 発表時期 特徴(評価の目的)
公示価格

国土交通省

土地鑑定委員会

毎年1月1日 3月下旬頃 一般の土地取引の指標

基準値

標準価格

都道府県知事 毎年7月1日 9月下旬頃 公示価格の補完

相続税

路線価

国税庁 毎年1月1日 8月上旬頃 相続税・贈与税算出の基礎。公示価格の80%の水準
固定資産税評価額

市区町村長

東京23区は東京都

原則基準年度(3年ごと)の前年1月1日

3月1日

基準年度は4月1日

固定資産税・不動産取得税・登録免許税等の算出の基礎。

公示価格の70%程度の水準。

宅地に関するそのほかの財産の評価方法

宅地に関するそのほかの財産の評価方法を一覧表で紹介します。

土地 普通借地権 自用地評価額×借地権割合
貸宅地 自用地評価額×(1-借地権割合)
貸家建付地 自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
貸家建付借地権 借地権の評価額(=自用地評価額×借地権割合)×(借家権割合×賃貸割合)
農地 純農地 固定資産税評価額×倍率
中間農地 固定資産税評価額×倍率
市街地周辺農地 市街地農地としての評価額×80%
市街地農地 倍率が定められていない場合(その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額-1㎡当たりの造成額)×地積倍率が定められている場合固定資産税評価額×倍率
山林 純山林・中間山林 固定資産税評価額×倍率
市街地山林 その山林が宅地であるとした場合の価額-宅地造成費
私道 不特定多数の人が利用している場合 評価しない
特定の者のみ利用している場合 通常宅地の30%で評価
その他 耕作権の評価 農地の自用地としての価額×(1-耕作権割合)
永小作権の評価 農地の自用地としての価額×(1-権利の残存期間に応じた割合)
地上権の評価 農地の自用地としての価額×権利の残存期間に応じた割合
使用貸借の評価 自用地としての評価額

家屋の評価方法について

家屋の評価は、固定資産評価額で評価します。

自用建物の評価額=固定資産税評価額×1.0
(建物についての固定資産税評価額は、建築費の50%~70%ぐらい)

以下、家屋に関するそのほかの財産の評価方法を表にまとめています。

建築中の家屋 費用現価×70%
貸家 貸付用建物(貸家) 固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
付属設備等 家屋と構造上一体となっている設備 家屋の価格に含めて評価
建築物(門・塀) (再建築価額-経過年数に応ずる減価の額)×70%
マンション 建築物(庭木・庭石・池) 調達価額の70%相当額
建物 固定資産税評価額
敷地 敷地面積の評価額×敷地権割合

預貯金の評価方法について

預貯金の評価は、残高証明書を取り寄せて確認します。

普通預金 相続開始日の預入残高
定期預金等 預入残高+既経過利子の額

有価証券の評価方法

有価証券の評価は、残高証明書を取り寄せて確認します。以下、評価方法を一覧表にまとめて紹介します。

※課税時期・・・被相続人が亡くなった日のこと

上場株式

上場株式は次の4つのうち最も低い価額で評価します。

1.課税時期※の終値

2.課税時期の属する月の毎日の終値の平均額

3.課税時期の属する前月の毎日の終値の平均額

4.課税時期の属する前々月の毎日の終値の平均額

利付公社債

1.発行価格+源泉所得税等控除後の既経過利息の手取額

2.課税時期最終価格+源泉所得税控除後の既経過利息の手取額いずれか低いほう

転換社債

1.上場または店頭登録されている転換社債

転換社債の評価額=課税時期の最終価格+源泉所得税等控除後の既経過利息の額

2.上記1以外の転換社債

発行会社の株式の価格≦転換価格の場合

転換社債の評価額=発行価格+源泉所得税等控除後の既経過利息の額

3.上記1以外の転換社債

発行会社の株式の価格>転換価格の場合

転換社債の評価額=株式の価格×100円÷転換価格

割引債

1.発行価格+既経過償還差益

2.相続開始の日の最終価格

貸付信託

元金+(既経過収益の手取額-源泉徴収される所得税相当額)-買取割引料

投資信託

相続開始日の基準価額

取引相場のない株式の評価方式の種類

取引相場のない株式の評価の方式を一覧表で紹介します。

原則的評価方式 類似業種比重方式 評価会社と事業内容が類似する上場企業評価・配当・利益・薄価純資産をベースに自社株を評価する方式
純資産価額方式 所有資産の相続税評価額ベースの純資産価額により自社株を評価する方式
上記2方式の併用方式 上記2方式の配当実績値に基づき自社株を評価する方式
特例的評価方式 配当還元方式 2年間の配当実績値に基づき自社株を評価する方式

その他の財産の評価方法一覧表

ゴルフ会員権や書画骨董など、その他の財産の評価方法をまとめて紹介します。

ゴルフ会員権 取引相場のあるもの 課税時期の取引価格×70%+取引価格に含まれない預託金等

取引相場のないもの

株式方会員権

株式・預託金併用型会員権

預託金会員権

 

株式の価額

株式の価額+預託金等

預託金等

動産   売買実例価額や精通者意見価格等
書画骨董 販売業者の所有品 棚卸商品として評価
  販売業者以外の所有品 売買実例価額や鑑定により評価
著作権   年平均印税収入の額×0.5×評価倍率=評価額
電話加入

取引相場のあるもの

通常の取引価額
取引相場のないもの 電話取扱局ごとに国税局長が務める
自動車   調達価額または、新品の小売価額-経過年数に応じた減額
死亡生命保険金  

保険金-非課税枠

(500万円×法定相続人数)

死亡退職金  

死亡退職金-非課税枠

(500万円×法定相続人数)

相続財産評価のまとめ

  • 財産の種類によって評価の方法が異なるため、財産を評価する方法を知識として持っておくとよい
  • 知識を持った上で、実際に評価を調べるには税理士の手を借りることもおすすめ

以上、相続財産評価について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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