コラム

COLUMN
2021.11.02

【相続の基礎】相続税を払えない場合はどう対処するのか?

相続した不動産の評価が予想以上に高額となり、相続税の納付が必要なのに現預金が足りず、申告期限までに払えないといったような場合があります。

相続税は申告期限までに現金一括で納めるのが基本なので、期限に間に合わないと延滞税と無申告加算税が課されてしまいます。

このようなとき、どう対処するべきなのでしょうか。

この記事では、相続税を払えない場合の対処法について日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。

期限までに申告納税できない場合の延納とは

相続税は、申告期限までに現金一括で納めるのが基本です。

期限までに申告納税しないと、延滞税と無申告加算税が課されます

そのため、相続財産が不動産ばかりで現預金が足りない場合、不動産を売却して現金化し、納税資金とするのが基本となります。

ただし、期限までに換金するのが難しいこともあり、納税資金の用意が間に合わないことも。

このような場合、最長20年にわたって分割払いできる「延納」の制度が用意されています。

ただし、延納期間に応じて利子税が課されるほか、延納が認められるためには以下の条件を満たす必要があります。

延納の主な条件

①相続税の金額が10万円以上

②納付期限までに金銭での納付が難しい
③担保を提供できる(延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合は不要)
④申告期限までに延納申請書等を提出する

延納が難しい場合の物納

延納でも難しい場合には「物納」という方法もあります。

しかし、不動産の場合、時価より低い金額で評価されてしまうことが多い点に注意しなければなりません。

また、小規模住宅地等の特例を適用した宅地は評価額を減額した金額で物納されるので、できれば売却して現金で納税したいところです。

物納の主な条件
①延納でも納付が難しい
②物納できる財産がある
③申請で税務署長の許可を受ける
④金銭で納付が難しい金額が限度
⑤申告期限までに「物納申請書」等を提出する

以下は物納に充てられる財産の順位です。

第1順位 ①不動産・船舶・国債証券・地方債証券・上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券および出資証券を含み、短期社債等を除く)
②不動産および上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
第2順位 ③非上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券および出資証券を含み、短期社債等を除く)
④非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
第3順位 ⑤動産

相続税を払わず滞納し続けるとどうなるのか?

期限までに相続税を支払わなかった場合、前述したように延滞税と無申告加算税が課されるほか、放置していると最終的には国税庁によって財産を差し押さえられます。

以下は一般的な差し押さえの流れです。

①督促状が届く
②税務署からの電話・訪問連絡がくる
③最終督促状が届く
④差押予告書が届く
⑤差押調書が届く
⑥差し押さえ

不動産が主な差し押さえ対象となり、有価証券や預金、場合によっては所有する動産なども差し押さえられ、競売にかけられることになります。

さらに、相続税を支払わないままにしておくと延滞税や無申告加算税が課されます。

延滞税と無申告加算税は条件によって以下のように課税額が変動します。

税金 課税対象者 課税額
延滞税 相続税は指定期限までに納付しなかった納税者

納付期限翌日より2か月まで(年3~4%ほど)

納付期限翌日より2か月以降(年9~10%ほど)

無申告加算税 正当理由なしに法律規定の申告期限までに納税しなかった納税者

税務調査通知前に自主的に納税した(5%)

税務調査で滞納が発覚した(10~20%)

自己破産すると税金の支払いはどうなるのか?

自己破産をすると借金などの返済義務などは免除されますが、滞納している税金の支払い義務は免除されません。

自己破産をして税金の支払いから逃れたいと考える方もいるかもしれませんが、税金の支払いから逃れることは難しいといえるでしょう。

しかし、税金の支払い義務が免除されるケースもあります。

病気を患うなどして働けなくなり、生活保護の対象になると税金の滞納処分を猶予してもらえる「滞納処分の停止」という制度があります。

滞納処分が停止されてから3年が経過すると支払い義務が免除されます。

なお、税金にも時効があり、これが完成すると支払い義務はなくなりますが、時効が完成するまでの期間に督促状が送られてきたり、財産が差し押さえられたりすれば時効は中断されます。

税務署や地方公共団体などが税金の滞納を放置することはないので、税金の時効を迎えることは現実的ではありません。

相続税を払えない場合の対処法に関するまとめ

  • 要件をすべて満たしていると、最長20年にわたって分割払いできる延納の制度を利用できる(利子税が課される)
  • 延納が難しい場合は物納が認められるが、物納する財産は相続税評価額になるので時価より低い評価になる可能性が高い
  • 期限を超えて相続税を滞納し続けると、最終的には国税庁に差し押さえられることになる

以上、相続税を払えない場合の対処法について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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