コラム

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2021.11.15

【相続対策】相続税の節税に生命保険を活用するメリット・デメリット

生命保険は通常、残された家族の生活を保障するために契約されていたものを考えられるため、非課税枠が用意されています。

そのため、一定の死亡保険金は非課税となっており、相続税の対策に活用することができます。

この記事では、相続税の節税に生命保険を活用するメリットについて、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

※相続税についてのご相談がある方には、提携している税理士を紹介いたします。

生命保険の非課税枠と計算方法

本来、生命保険は受け取った人の財産です。しかし、保険料を支払っていたのが亡くなった人の場合は被相続人の財産と考えることもできます。

そのため、生命保険金の保険料支払者が亡くなった人である場合、みなし財産として相続税の対象となります。

ただし、生命保険は残された家族の生活保障という大切な役割を担っているため、非課税枠が用意されています。

生命保険金の受取人が相続人(相続放棄した人や相続権を失った人を除く)の場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が以下の計算式で算出された非課税限度額を超える際に、その超えた部分が課税対象となります。

500万円×法定相続人の数=非課税限度額

たとえば、法定相続人が2人で、生命保険金が合計5000万円だったとしましょう。非課税限度額は以下のように計算されます。

生命保険金の非課税限度額の計算
500万円×2人=1000万円(非課税限度額)
生命保険金の課税対象額の計算
5000万円(生命保険金合計額)-1000万円(非課税限度額)=4000万円(課税対象額)

この場合、生命保険金の合計5000万円から非課税限度額1000万円を引いた4000万円が相続税の課税対象となります。

ただし、相続税を計算する際には基礎控除もあります。基礎控除額は法定相続人2人の場合

(3000万円+600万円×2人)=4200万円(基礎控除額)

となります。

その他の相続財産がなかった場合、4000万円は基礎控除額以下なので相続税を払う必要はありません。

つまり、生命保険金に相続税がかかるかどうかは、「生命保険の非課税限度額と基礎控除額を足した金額」より多いときに、その多い部分にかかることになります。

生命保険のメリットとさまざまな活用法

先に紹介した例では相続財産が生命保険金のみの場合でしたが、同じ5000万円を生命保険ではなく現金で相続した場合はどうなるのでしょうか。

現金で相続すると非課税枠が使えず、使えるのは基礎控除のみとなります。(その他の控除や特例等を使用できないと仮定します)

相続税の基礎控除額の計算
3000万円+600万円×2人=基礎控除額4200万円
5000万円(課税対象額)>4200万円(基礎控除額)

基礎控除額は法定相続人2人で4200万円なので、これを超えた800万円に対して相続税が課税されます。

このように計算してみると、生命保険が相続対策として遺族の生活保障に役立つ大きなメリットがあることが分かるでしょう。

その他、生命保険は次のようなケースにも有効です。

納税資金としての活用

不動産などの資産が多い場合、相続税の納税が大きな負担となることがあるため、生命保険をかけて納税資金として活用することができます。

受取人指定ができる

生命保険は受取人を指定できます。遺産分割や遺留分の対象とならないため、被相続人が資産を残したい相手を選んで資産を残すことができます。

保険会社との契約によっては、相続人でなくても受取人に指定することが可能です。

相続放棄をしても受け取り可能

生命保険はみなし相続財産として課税対象になりますが、民法上の相続財産ではないので相続放棄をしても受け取りが可能です。

遺産分割前に保険金を受け取れる

基本的に、遺産は遺産分割協議が終わるまで勝手に使うことができません。相続人同士の遺産分割協議がまとまらないために長引いた場合、生活資金に困る可能性も出てきます。

その点、生命保険は遺産分割協議と関係なく受取人を指定できるので、当面の生活資金として活用することもできるのです。

通常、保険会社に保険を請求してから1~2週間程度で保険金が支払われます。

生命保険のデメリットとは?

生命保険には活用メリットが多いですが、一方で注意すべき点もあります。何に注意すべきかを説明していきましょう。

遺産分割ができないことによるトラブルの発生

受取人を指定できるということは、遺産分割の対象にならないということでもあります。

相続人同士、または相続人以外で受取人となっている人との間で不公平感が生まれてしまうと、トラブルに発展しかねません。

余計なトラブル発生を防ぐためにも、生前から生命保険の趣旨を説明し、関係者に理解を得ておくことをおすすめします。

生命保険契約に関する権利は非課税枠が使えない

生命保険の非課税枠が使えるのは、被相続人が保険料を負担していて、死亡時に支払われる死亡保険金であり、「生命保険契約に関する権利」については非課税枠を使えません。

「生命保険契約に関する権利」とは、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約で、相続時にまだ保険事故が発生していないものをいいます。

たとえば、被相続人が父で、息子を被保険者として父が保険料を負担して生命保険をかけていた場合、その生命保険の権利を息子が引き継ぐことがありますが、このような場合には非課税枠を使うことができないのです。

さらに、「生命保険契約に関する権利」は、契約の仕方によって、みなし財産ではなく本来の財産として遺産分割協議の対象に取り込まれる点もあれば、契約者ではなく保険料負担者によって相続税がかかるかどうかが決まる点もあります。

相続税対策に適した保険の種類

生命保険契約には定期保険・養老保険・終身保険の3種類がありますが、むやみに加入すればいいというものではありません。

提起保険や養老保険は保険期間が限定されていて、期間を過ぎてしまうと保障が終了してしまうため、いつ発生するか分からない相続の対策には向いていないといえます。

相続税対策には一生涯の保障が受けられる終身保険が最も適しているでしょう。

終身保険には掛け捨て型と貯蓄型があります。途中解約した場合にも解約返戻金が受け取れる貯蓄型なら、老後の資金準備としても活用できるのでより安心です。

このように、自身や家族の状況に照らし合わせ、活用できる保険をよく検討してみましょう。

相続税の節税に生命保険を活用するメリットのまとめ

  • 生命保険の非課税枠の計算方法は「500万円×法定相続人の数=非課税限度額」
  • 生命保険は納税資金・受取人指定・遺産分割前の受け取りなどにも活用できる
  • 生命保険は遺産分割できないため、相続人間や受取人になっている人との間でトラブルに発展することがある
  • 生命保険契約に関する権利は非課税枠を使えないデメリットがある

以上、相続税の節税に生命保険を活用するメリットについて解説しました。

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※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。

行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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