コラム

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2022.01.24

【相続手続き】小規模宅地等の特例の適用にあたって注意すべき点

小規模宅地等の特例は、要件を満たせば小規模な宅地の評価額を最大80%も減額できるため、節税に効果的な制度であり、適用の有無によって負担する税額に多大な影響を与えます。

適用を受けるにはいくつかの要件がありますが、その中の1つである「特例対象宅地等を取得した全員の選択同意」については、あらかじめ注意しておくべき点があります。

この記事では、小規模宅地等の特例の適用にあたって注意すべき点について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例は、被相続人と共に暮らしていた場合、自宅の用地のうち330㎡まで80%減額される制度です。

小規模宅地等の特例を利用すれば、相続した土地にかかる相続税を劇的に減額することができます。

小義母宅地等の特例の対象となる土地は以下のとおりです。

  • 事業用の土地
  • 居住用の土地

小規模宅地等の特例についてもっと知りたいという方は、より詳しく解説している記事をご覧ください。

「特例対象宅地等を取得した全員の選択同意」の注意点

小規模宅地等の特例は節税対策として非常に効果的な制度ですが、適用を受けるためのいくつかの要件の中の1つである「特例対象宅地等を取得した全員の選択同意」について、注意すべき点を、裁判例を基に説明しましょう。

遺言書に記載の土地以外に特例対象宅地等があるケース

裁判例その1 遺言書に記載の土地以外に特例対象宅地等があるケース
遺言書で特例対象宅地等を相続人に「相続させる」旨の遺言を遺していたとしても、他に遺言書に指定のない特例対象宅地等があり、相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合、相続人全員の選択同意がなければ小規模宅地等の適用を受けることができない。

「相続させる旨」の遺言は、相続人のうち、ある特定の相続人に、相続財産を相続という形で承継させるものです。

しかし、遺言書に記載されていない特例対象宅地等がある場合は、その宅地等は相続人全員が共有している状態にあります。

相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらなければ、遺言書で特例対象宅地等を取得した相続人を含めた相続人全員の選択同意が必要です。

仮に相続税の申告後に未分割財産である特例対象宅地等について遺産分割協議がまとまり、全員の同意を得られたとしても、「更正の請求※」によって小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。

※更正の請求とは
行った申告の税額が多すぎた場合に減額更正を求める手続きのこと

なお、申告期限までに分割できなかった場合でも、一定の書類を提出することで、更正の請求によって小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

  • ①「遺言により相続させるとしている宅地等」について、遺贈の放棄を行い、特例対象宅地等のすべてを未分割の状態に戻し「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限から3年以内に分割されたとき
  • ②申告期限から3年以内に分割できない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたとき

もっとも、遺贈の放棄をした者が、その後の遺産分割協議において、その宅地等を相続できるとは限らないことに気を付けなければなりません。

「同意しない者が相続した宅地等の面積」から控除して申告したケース

裁判例その2 「同意しない者が相続した宅地等の面積」を限度面積がら控除して申告したケース
選択の同意をしない者が相続した特殊対象宅地等の面積を限度面積から控除して申告した場合でも、小規模宅地等の特例の適用を受けることはできない。

特例対象宅地等については、相続人によって申告の内容が異なってはならないとされています。(相続税の課税価格の確定ができないため)

以上の趣旨を踏まえ、このケースについては以下のように判示されています。

「租税法については、租税法律主義の見地から、みだりに拡張解釈すべきではない。

特に非課税要件規定については、租税負担公平の原則から、解釈の狭義性、厳格性が要請される。

本件特例の適用要件についても、拡張解釈することはできないと解すべきである。

本件においては、原告らが特例対象宅地等を取得した者全員の同意書を添付していないことに争いはないのであるから、本件特例の適用要件を欠くというべきである。」

要するに、適用を受けるためには相続人全員の同意が必要不可欠であり、公平性の観点から個別の事情を考慮することはできないということです。

小規模宅地等の特例を受けるための対策

特例対象宅地等が複数ある場合、小規模宅地等の特例の適用について相続人全員の同意が得られるような遺言を遺すことがカギとなります。

小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、遺言書で特定の相続人に対し、「すべての特例対象宅地等を相続させる」と記しておくのが最もシンプルで確実な方法といえるでしょう。

小規模宅地等の特例の適用にあたって注意すべき点のまとめ

  • 遺言書に記載されている土地以外に特例対象宅地等がある場合は、小規模宅地等の特例の適用に相続人全員の同意が必要
  • 特例の適用を受ける宅地等を選択する際、相続人によって異なった申告をしてはならない

以上、小規模宅地等の特例の適用にあたって注意すべき点について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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