コラム

COLUMN
2022.05.09

【遺言の基礎】公正証書遺言の作成方法と費用

公正証書遺言とは、公証人の関与のもと作成する遺言書を言います。

自分自身が手書きで作成する自筆証書遺言に比べ、公証人が作成に関与する方法であるため、最も確実な遺言書となります。

この記事では、公正証書遺言について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

公正証書遺言について

公正証書遺言は、公証役場で承認2人以上の立ち会いのもとに、遺言者が遺言事項を口述して作成する遺言書です。法的に正しい書式で遺言書を作成することができます。

公正証書遺言の作成方法とメリット

公正証書遺言の作成手順は以下のようになっています。

  • ①遺言者が口述する遺言事項を公証人が筆記し、遺言書を作成。
  • ②筆記したものを公証人が遺言者と証人全員に読んで聞かせる。
  • ③遺言者と証人は、筆記が正確であることを確認のうえ、署名・押印。
  • ④公証人は証書を作成した手順を付記して署名・押印。

遺言者が病気などで署名できない時は、公証人がその理由を付記します。

公正証書遺言は、遺言内容を秘密にすることはできません。

しかし、遺言書は公証役場に保管されます。

したがって、死後発見されないで紛失・破棄してしまったり、内容が改ざんされたりする恐れはありません。

また、一度作成した公正証書遺言の取り消し・変更をすることもできます。

死後、家庭裁判所での検認の手続きがいらないことも公正証書遺言の長所の1つです。

遺言者の死後、遺族はすぐに開封して内容を確認することができます。

公正証書遺言には法的に有効な内容しか書けないのか?
公正証書遺言にも、自筆証書遺言などと同じように遺言者の思いを記すことができます。
遺言者がどのような考えで相続分の指定や財産の分割方法の指定をしたか、自分が亡くなった後、家族にはどうして欲しいかなど、遺言書に記載したいことがあれば公証人に伝えましょう。

公証役場に行けない場合は公証人に出張してもらうことが可能

遺言者が病気で、本人が公証役場に行けない場合は、公証人に自宅や病院に出張してもらうこともできます。

ただし、出張してもらった場合でも、遺言者は遺言内容を口述するのが決まりです。

したがって、口述できない状態では公正証書遺言を作成することはできません。

また、出張費用として作成手数料が通常の1.5倍になるほか、日当・交通費(実費)が必要です。

なお、聴覚・言語機能障害者の場合は、手話または筆談による公正証書遺言の作成が可能です。

公正証書遺言の作成手順

公証役場は全国に約300カ所あります。

公証役場での相談は無料なので、公正証書遺言を作成したい場合はまず相談に行くといいでしょう。

公証人には守秘義務があるので、相談内容が漏れる心配はありません。

公正証書遺言作成時に必要なものは、実印と印鑑登録証明書です。

公正証書遺言作成時の押印には実印を使う必要があります。

そのほか、遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本・遺言の内容によって遺贈する場合は、受遺者の住民票・被相続人の不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書・財産の目録など必要な書類は異なります。

作成前に十分な確認と準備をしておきましょう。

そして、遺言内容を漏らさない、信頼できる人2人に証人を依頼します。

証人2人の身分証明書と認め印も必要です。

ただし、証人となれる人には条件があります。以下のような人には証人の資格がありません。

  • ①未成年者
  • ②推定相続人、遺言によって相続を受けることになる人(受遺者)およびその配偶者と直系血族
  • ③公証人の配偶者・4親等以内の親族・書記・雇い人

一般には、以上に該当しない知人・弁護士・税理士などに証人を依頼する場合が多く、証人を依頼できる人が思い当たらなければ公証人が紹介してくれます。

また、遺言の内容が複雑な場合は、作成前に税理士や弁護士などの専門家に相談するといいでしょう。

作成した公正証書遺言は保管・データ管理される

公正証書遺言は原本・原本の写しである正本・謄本の3通が作成されます。

正本と謄本が遺言差に渡され、原本は法律では作成から20年間の保管が認められていますが、遺言者が120才になるまでの期間、公証役場に無料で保管されます。

もし、正本を紛失しても再交付を受けることができます。

また、公正証書遺言には「遺言書検索システム」があります。

公正証書遺言を作成すると遺言者の氏名・生年月日・証書の日付・番号などが日本公証人連合会の本部でデータ管理されます。

これによって、公正証書遺言が作成されているか、作成されているならばどこの交渉役場か、などの検索が可能です。

なお、これらの照会ができるのは公証人だけです。

遺言者本人や遺言者の死後は、相続人などの利害関係人のみが公証人に紹介を依頼することができるようになっているので、プライバシーを守ることができます。

公証人とは?
公証人は裁判官・検察官・法務局長など、原則として30年以上の実務経験を有する法律関係者の中から選ばれ、法務大臣が任命する公務員を言います。
このほか、長年法務事務に携わり、これに準ずる学識経験を有する者で検察官・公証人特別任用等審査会の選考を経た者も任命できることになっています。
公証人は法務局または地方法務局に所属し、全国各地にある公証役場で公証人法により仕事を行っています。

公正証書遺言の作成手数料と早見表

公正証書遺言を作成する際の費用(手数料)は、法によって決められていて全国どこの交渉役場でも同じです。

その手数料は、相続人や受遺者が取得する財産の額や、相続人や受遺者の人数によって変わります。

財産の額 手数料
100万円まで 5,000円
100万円を超え200万円まで 7,000円
200万円を超え500万円まで 11,000円
500万円を超え1,000万円まで 17,000円
1,000万円を超え3,000万円まで 23,000円
3,000万円を超え5,000万円まで 29,000円
5000万円を超え1億円まで 43,000円
1億円を超え3億円まで 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円まで 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円超 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

出典:日本公証人連合会HP

公正証書遺言の作成方法と費用についてのまとめ

  • 公正証書遺言は証人2以上立ち会いのもと、遺言者が口述して作成する(口述できない状態では作成できない)
  • 遺言書は公証役場に保管され、日本公証人連合会の本部でデータ管理される

以上、公正証書遺言について解説しました。

相続手続き代行サービスはこちら

行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

CONTACT

まずはお気軽にご相談ください

電話で相談する
Tel.042-843-4211
メールで相談する
お問い合わせはこちら

(本社)東京都日野市豊田3-40-3 レジェイドサザンゲート1F

(新宿支店)東京都新宿区西新宿7-2-6 西新宿K-1ビル3F