コラム

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2022.11.21

【相続対策】養子縁組による相続への影響|相続順位・法定相続分・遺留分の変動

養子縁組は事業の後継者確保や節税対策など、さまざまな目的で結ばれています。

養子縁組を結ぶことで法律上の親子関係が発生しますが、それによって生じる相続への影響は把握しておきたいものです。

養子縁組を結ぶことで、場合によっては相続順位が変動し、法定相続分・遺留分が減少します。

また、代襲相続が発生した場合の相続権がどうなるかも少々複雑です。

養子縁組の種類をはじめとし、養子の有無が相続に及ぼす影響について説明していきましょう。

この記事では、養子縁組が相続に及ぼす影響について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

2種類ある養子縁組はそれぞれ制度利用の目的が異なる

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。

それぞれの養子縁組が持つ意味合いが違うため、養子縁組を結ぶための条件も異なります。

2つの養子縁組の種類と相違点について解説していきましょう。

後継ぎを残すためにある普通養子縁組

普通養子縁組は家の後継ぎを残すために創設された制度です。

普通養子縁組を結ぶと、実の親との親子関係を存続したまま養親との親族関係も発生します。

普通養子縁組の場合、養親は養子より早く生まれた成年者でなければいけません。

また、養子に年齢制限こそないものの、卑属(親族関係における後の世代)が尊属(祖父母や両親、伯叔父母)を養子にすることはできません。

子どもの福祉のためにある特別養子縁組

特別養子縁組は虐待や育児放棄などを受けている子供の福祉のために創設された制度で、普通養子縁組とはその意味合いが異なります。

特別養子縁組を結ぶと実の親との法律上の親子関係が解消され、養親との間で実の親子と同じ親子関係が発生します。

したがって、実親の遺産を相続することはできません。

普通養子縁組と特別養子縁組の違い比較表

ここで、普通養子縁組と特別養子縁組の相違点を比較表にまとめて紹介しましょう。

  普通養子縁組 特別養子縁組
養親の年齢 20歳以上 夫婦のうちどちらかが25歳以上で、もう一方が20歳以上であること
養子の制限 尊属(祖父母や両親、伯叔父母)または年長者でないこと 原則15歳未満であること
養子縁組の同意 養親または養子となる人が結婚している場合は、原則として配偶者の同意が必要 実の両親の同意が必要(意思表示ができない場合や、虐待など養子となる人の利益を著しく害する事由がある場合は、同意は不要)
家庭裁判所の許可 未成年者を養子にする場合は、家庭裁判所の許可が必要(養子が自分や配偶者の直系卑属(子や孫)の場合、許可は不要) 家庭裁判所の許可が必要(特別養子縁組を成立させることがふさわしいと家庭裁判所に認められること)
養子縁組の離縁 当事者間の協議により可能 原則として不可能。養親による虐待など養子の利益を著しく害する事由があり、実父母が相当の監護をできる場合に限り可能である

養子縁組がいる場合の相続について

養子がいることで、相続順位が変わったり、遺留分が変動したりします。

養子の有無が相続に与える影響について解説しましょう。

子がいることで相続の順位が変動することがある

養子縁組を結ぶことで相続の順位が変動する場合があります。

例えば、子がいない夫婦がいたとしましょう。

夫が死亡し、夫の親が健在であれば通常は妻と夫の親が相続人となります。

しかし、養子縁組を行っていた場合、妻と養子が相続人となります。

子が増えることによる法定相続分・遺留分の減少

相続人が配偶者のみの場合、配偶者がすべてを相続します。

しかし、養子縁組が結ばれていた場合、子がいるために配偶者の法定相続分は1/2になります。

また、養子縁組が行われることで子が増えることになります。

すると、子の1人当たりの遺留分(最低限相続できる遺産のこと)は減少します。

相続人 法定相続分 総体的遺留分 個別的遺留分
配偶者のみ 配偶者100% 1/2 配偶者1/2
配偶者と子1人 配偶者1/2・子1/2 1/2

配偶者1/4・子1/4

配偶者と子2人 配偶者1/2・子1/4 1/2 配偶者1/4・子1/8ずつ
配偶者と親 配偶者2/3・親1/3 1/2 配偶者1/3・親1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4 1/2 配偶者1/2・兄弟姉妹0

養子がいる場合に代襲相続が生じたらどうなるのか?

民法において、養子は

「養子と養親およびその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる(民法727条)」

と定められています。

したがって、養子縁組の後に生まれた養子の子は養親の代襲相続人となりますが、養子縁組の前に生まれた養子の子は養親と直系の血族関係が生じないので代襲相続人にはなれません。

しかしながら、以下の図のように養子縁組前に生まれた養子の子が、養親の実子の子で直系卑属にあたる場合、養親を被相続人とする相続においてその子は養子を代襲し、相続人となります。

養子縁組が相続に及ぼす影響まとめ

  • 養子縁組によって相続の順位が変動する場合がある
  • 養子縁組によって子が増えることで、法定相続分や遺留分が減少する
  • 養子の子が養子縁組より前に生まれた場合は代襲相続人にはならないが、養子縁組後に生まれた場合は代襲相続人となる

以上、養子縁組が相続に及ぼす影響について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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