コラム

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2021.10.26

【相続の基礎】成年後見制度とは?

成年後見制度は、認知症の高齢者など精神上の障がいよって判断能力が不十分な方々の権利が守られるように支援する制度です。

この記事では、成年後見制度を利用する際に知っておきたいポイントを、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートがわかりやすく解説します。

成年後見制度とは何か?

成年後見制度ができる前は、「禁治産・準禁治産者宣告制度」がありました。成年後見制度ができた経緯と、成年後見制度の概要をわかりやすく解説します。

成年後見制度ができた理由

成年後見制度ができる前は「禁治産・準禁治産者宣告制度」という制度があり、判断能力が不十分な方を「禁治産者」として財産管理や契約などの法律行為を制限していました。

しかし、禁治産者になるとその事実が公示され、本人の戸籍に記載されるため、社会的な偏見や差別を生むといった問題点がありました。

そこで、2000年4月1日より、障がいのある方も家庭や地域社会で従来の生活を送れるようにしようというノーマライゼーションや本人の残存能力の活用、自己決定の尊重の考えをもとに成年後見制度がスタートしました。

ノーマライゼーション・・・厚生労働省が提唱している、障がいのある人が障がいのない人と同等に生活し、ともに生き生きと活動できる社会を目指す理念のこと。

判断能力が不十分な成人を守る成年後見制度

成年後見制度は、認知症などの精神上の障がいによって判断能力が不十分な方々が不利益を被らないように支援するための制度です。

実際に、認知症の高齢者の増加にともなって悪徳商法の被害なども増えています。このような場合にも、成年後見制度をうまく利用することで被害を防ぐことができます。

成年後見制度の申し立ての動機としては、

  • 財産管理
  • 身上監護(介護・医療に関する契約締結等)
  • 遺産分割協議
  • 訴訟手続
  • 生命保険金の受領

などです。

すでに認知症・知的障がい・精神障がいなどの理由で判断能力が低下している場合は「法定後見」。

将来、判断能力が低下したときに備えたい場合は「任意後見」を利用します。

  種類 対象者 援助者 付与される権利
法定後見 後見 判断能力が欠ける人 成年後見人 広範な代理権と財産管理権と取消権
保佐 判断能力が著しく不十分な人 保佐人 特定の法律行為の代理権と取消権(同意見)
補助 財産行為に援助が必要な場合がある人 補助人 特定の法律行為の代理権と取消権(同意見)
任意後見 今は元気だが、将来判断能力が低下したときに備えたい人 任意後見人 特定の法律行為の代理権取得権(同意見はなし)

法定後見制度と3つの分類

法定後見制度には、

  • 後見
  • 保佐
  • 補助

の3種類があり、判断能力の程度などに応じて制度を選べます。

家庭裁判所選任の成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、判断能力の不十分な本人の利益を考慮して、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたりします。

また、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為をあとから取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。

後見について

後見とは、精神上の障がい(アルツハイマー・脳血管性・知的障がいなどで身体障がいは対象外)によって判断能力を欠く常況にある方が対象となります。

このような方は、自分の行動の意味や結果を理解できないため、単独で契約などを行った場合に不利益を被るおそれがあります。

そのため、後見人が代わって契約等を行い、本人を保護します。

成年後見事例1(後見)
Aさんは交通事故による後遺症で物忘れがひどくなり、日常生活においても家族の判別がつかなくなりました。Aさんは半年前から入院していますが、その症状には回復の見込みがありません。
Aさんの加入している生命保険会社に病状を伝えると、高度障がいに該当するので生前に保険金を支払うことができると教わりました。
保険金受領のため、Aさんの妻は後見開始の審判を申し立てました。
家庭裁判所の審理を経て、Aさんについて後見が開始され、Aさんの財産管理や身上監護をこれまで事実上担ってきた妻が成年後見人に選任され、妻は保険金受領の手続きを行いました。

保佐について

保佐とは、精神上の障がいにより物事を理解する能力が著しく不十分な方、すなわち精神上の障がい(認知症・知的障がい・精神障がい等)によって判断能力が著しく不十分な方を対象とする制度です。

一定の重要な行為については、支援者(保佐人)の同意を必要とすることにより、本人が不利益を受けることを防ごうとするものです。

また、必要に応じて代理権を付与することも可能となっています。

成年後見事例2(保佐)
Bさんは生まれつき知的障がいがありました。そのため、知人や同僚からお金をだまし取られたり、自宅を訪問してきたセールスマンの口車に乗って高額な商品を購入してしまうなど、悪徳商法の被害に遭うトラブルが多々ありました。
また、母親がBさんのために遺した預金を引き出しては、無駄遣いを繰り返してしまう等の浪費癖もあり、心配したBさんの妹からの相談で保佐開始の審判を申し立てしました。
家庭裁判所の審理を経て、Bさんについて保佐が開始され、Bさんの妹が保佐人として選任されました。
代理権付与として、金融機関での預金の引き出しなどの代理権も保佐人に付与されました。

補助について

補助は、比較的軽度な精神上の障がいを持つ人のための制度です。

物事を理解する能力が不十分な人を対象とし、従来の制度では保護の対象とならなかった軽度の精神上の障がいがある方を保護対象とした新しい制度です。

本人の重要な財産に影響を与えるような行為について、本人の状況に応じて、補助人に対し同意権および代理権を付与して保護を図るものです。

成年後見事例3(補助)
Cさんは夫の死後、ひとり暮らしとなり脳梗塞を患いました。
そのため記憶力が弱り、自分で金銭を管理することが難しくなりました。
Cさんの弟が亡くなり、相続手続を進める必要がありましたが、Cさんが遺産分割協議に参加するのは難しいと判断し、Cさんの長女が家庭裁判所に補助開始の申し立てをし、併せて遺産分割の協議についての代理権の付与の審判の申し立てをしました。
家庭裁判所の審理を経て、Cさんについて補助が開始され、長女が補助人に選任されてCさんの代理として遺産分割協議に加わり、相続手続を行うことができました。

後見人の選任は家庭裁判所が行う

成年後見人等には、本人の事情に応じて最も適した人を家庭裁判所が選任します。

本人の親族以外にも、行政書士などの法律家や社会福祉などの福祉の専門家、法人が選ばれる場合もあります。成年後見人等を複数選ぶことも可能です。

また、成年後見人等を監督する成年後見監督人などが選ばれることもあります。

成年後見制度のデメリット

成年後見制度を利用すると成年後見人が法律行為を代理できたり、本人が行った契約を取り消すことができたりするなどのメリットが挙げられる一方、成年後見制度を利用するデメリットには以下のような点が挙げられます。

  • 申し立ての費用と手続きの手間がかかる
  • 後見人への報酬が発生する(もしくは後見人となった親族に無報酬で負担をかけてしまう)
  • 成年後見人は原則として資産運用ができなくなる

とくに、親族が成年後見人になる場合の負担は大きいため、成年後見制度の利用はデメリットも考慮して検討を進めたいものです。

成年後見制度のまとめ

  • 成年後見制度は、判断能力が不十分な方々の権利が守られるよう支援する制度
  • 成年後見制度には、すでに判断能力が低下している場合の「法定後見」と将来判断能力が低下したときに備える「任意後見」がある
  • 法定後見は3つに分類されており、判断能力の程度に応じた制度を選べる
  • 成年後見制度の利用は成年後見人のデメリットも考慮して判断する

以上、成年後見制度について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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