コラム

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2022.07.18

【相続手続き】生命保険金と死亡退職金は相続財産に属するのか?

生命保険金や死亡退職金の受取について、受取人の固有財産とされるか、相続財産に属するかどうかは受取人がどのように指定されているかどうかによります。

受取人の指定をパターン毎に分けて考え、それぞれの扱いについて確認していきましょう。

この記事では、生命保険金と死亡退職金は相続財産に属するのかについて、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

生命保険金請求権は相続財産について

生命保険会社との生命保険契約では、生命保険金の受取人を自由に指定することができます。

この時、被保険者が死亡した場合の生命保険金が相続財産に属するかどうかは、保険金受取人がどのように指定されていたかによります。

特定の人が保険金受取人に指定されていたときは、その人が相続人であるかに関わらず、自己固有の権利として保険金請求権を取得します。

なお、保険金は保険金受取人の固有財産とされ、基本的には相続財産に属しません。

保険金受取人の指定をパターン毎に説明していきましょう。

①保険金受取人を単に相続人としていた場合

保険金受取人を相続人と指定していた場合、「被保険者の死亡時点で相続人となる個人」を保険金受取人として指定した契約と解されます。

この要件に該当する相続人が、保険契約を根拠として保険金請求権を取得します。

保険金請求権は要件に該当する相続人の固有財産となり、相続財産には属しません。

しかし、相続財産に属さないからといって、相続税がかからないわけではありません。

保険金受取人が「相続人」である場合は、保険金を相続によって取得したものとみなすので相続税が課税されます。

また、保険金の受取を相続人と指定した場合は特段の事情がない限り、相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を、相続分の割合による旨の指定も含まれていると考えられます。

したがって、各保険金受取人の有する権利の割合は相続分の割合となります。

なお、生命保険と相続税の関係について詳細を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。

②保険金受取人を指定していない場合

保険金受取人を指定していない場合でも、生命保険約款に「指定が無い時は保険金を被保険者の相続人に支払う」とあれば、保険金受取人を相続人に指定した場合と扱いは異なりません。

③保険金受取人を自分自身に指定していた場合

被相続人が自分自身を保険金受取人として契約していた場合、「生命保険金請求権は受取人の固有の権利」という原則に従い、相続財産に含まれることになります。

保険金受取人に指定された人が死亡したケースでは

保険事故が発生する前に保険金受取人に指定された人が死亡した場合、保険契約者は保険者に対する意思表示によって、保険金受取人の変更をすることができます。

変更することなく保険契約者も死亡した場合、相続人の全員が保険金受取人となります。

保険法46条
(保険金受取人の死亡)
第46条 保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。

なお、この保険法46条は、保険金受取人と保険契約者が同時に死亡した場合にも類推適用されます。

死亡退職金は固有の財産なのか?

死亡退職金は受取人の固有財産であり、相続財産には属しません。

死亡退職金の支給は、死亡した人の収入に依拠してきた遺族の生活保障を目的としており、「民法とは別の立場で受給権者を定めたもの」です。

受取人である遺族は相続人としてではなく、自己固有の権利として死亡退職金を取得すると解しています。

遺族年金も同様に受給者固有の権利とし、相続財産には属しません。

なお、支給規定に死亡退職金の受取人が指定されていない場合、相続財産に属するとして遺産分割の対象になることも考えられます。

生命保険金と死亡退職金は相続財産に属するかについてのまとめ

  • 生命保険金の受取人が被相続人自身に指定されている場合を除いて、保険金受取人の固有財産となり、相続財産には属さない。
  • 死亡退職金は受取人の固有財産であり、相続財産には属さないが、受取人が明確に指定されていない場合は相続財産に属するとして遺産分割の対象となる可能性がある

以上、生命保険金と死亡退職金は相続財産に属するのかについて解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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