コラム

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2023.06.07

【相続基礎】相続財産(遺産)の種類|相続財産となるものとは?

被相続人の死亡によって相続人に相続される相続財産(遺産)。

相続財産と聞くと良いイメージが先行するかもしれませんが、借金や滞納した税金などの負債も含まれます。中には相続財産だと誤解されやすいものや、相続財産に含まれない権利も存在します。

実際に相続が発生したときのために、相続財産の種類について知っておいて損はありません。

この記事では、

  • 相続財産(遺産)とは何か?
  • プラスの財産とマイナスの財産の種類
  • 相続財産が負債だらけだった場合の選択
  • 相続財産に含まれないもの(一身専属権)
  • 生命保険は相続財産なのか?

について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

相続財産(遺産)とは何か?

民法896条によれば、相続では、相続開始のときに被相続人の死亡時に存在していた財産の一切の権利義務を承継するとされています。

したがって、相続財産(遺産)とは、亡くなった人が有していた財産(権利義務とされるもの)の一切が含まれます。

財産は権利義務によって引き継がれるので、物だけでなく、契約上の地位も引き継がれます。つまり、「形見」や「借金」も相続財産に含まれることになります。

民法896条
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

プラスの財産とマイナスの財産について

相続財産には、相続人にとってプラスの財産とマイナスの財産があります。相続においてはマイナスの財産も引き継がれることになるので、相続財産をすべて把握する必要があります。

また、相続財産がプラスの財産よりマイナスの財産を上回った場合の対応についても説明していきましょう。

プラスの財産(資産)・マイナスの財産(負債)の種類

相続財産には、次のようにプラスの財産(積極財産)とマイナスの財産(消極財産)があります。

プラスの財産(積極財産) 不動産(土地・建物・借地権・借家権など)
動産(自動車・家財・貴金属・書画・骨董など)
現金・預貯金
株式などの有価証券
ゴルフ会員権
著作権・特許権など
マイナスの財産(消極財産) 税金
地代・家賃
借金
保証債務

相続財産が負債だらけだった場合どうするのか?

相続財産にはマイナスの価値しかないものも含まれますが、借金を返済する義務も相続の対象となります。

借金のようなマイナスの財産に関しては、相続してから「見逃していました」では済まされません。

「5,000万円の預金を相続したと思っていたら一緒に1億円の借金まで相続していた」ということにならないよう、相続財産をすべて把握する必要があります。(相続財産調査の詳細はこちら

この相続財産調査によって、プラスの財産よりマイナスの財産が上回る場合は、相続を全面拒否する「相続放棄」を行うことができます。

相続するべきか迷った時の選択肢3つの詳細はこちら

相続財産に含まれないものとは?

ここからは相続財産に含まれない一身専属権と、生命保険金の取り扱いについて解説していきましょう。

一身に専属するものは相続財産に含まれない

権利義務とされるものはすべて相続財産に含まれると言いましたが、民法896条によれば、亡くなった人の一身に専属するものは相続財産に含まれません。(一身専属権)

一身専属権とは、特定の者のみ(被相続人のみ)に帰属する権利のことを言い、他の者(相続人)に移転しない性質を持っています。

一身専属権の例一覧

一身専属性を定めた明文の規定があるもの

次のような権利には、帰属上の一身専属性を定めた明文の規定があります。

  • 代理権
  • 使用貸借における借主の地位(対して、貸借権は相続可能)
  • 雇用契約上の地位
  • 組合員の地位
  • 配偶者居住権
  • 配偶者短期居住権

規定はないが一身専属権とされるもの

明文の規定はないものの、帰属上の一身専属権とされるものとして、次のような権利があります。

  • 婚姻費用請求権
  • 扶養請求権
  • 生活保護法に基づく保護受給権

ただし、これらが一定額の給付請求権として具体化していた場合は、一身専属性が消滅し、相続が可能になります。

一身専属権の詳細はこちら

生命保険金は相続財産に含まれるのか?

生命保険金が相続財産に属するかどうかは、保険金受取人がどのように指定されていたかによります。

被相続人が自分自身を受取人としていた場合

被相続人が自分自身を保険金受取人として契約していた場合、「生命保険金請求権は受取人の固有の権利」という原則に従い、相続財産に含まれることになります。

受取人を相続人としていた場合/指定していない場合

生命保険について受取人が指定されている場合(受取人が指定されていない場合は相続人が受取人となる)、給付される保険金は受取人の固有の財産であると考えられ、相続財産には含まれません。

しかし、ここで注意したいのは、死亡保険金は相続財産としてみなされる「みなし相続財産」であり、相続税が課せられる点です。

生命保険と相続について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

相続財産の種類まとめ

  • 財産は権利義務によって引き継がれるため、物だけでなく契約上の地位も引き継がれる
  • 相続財産にはプラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)がある
  • 相続財産が資産よりも負債を上回る場合、相続放棄することが可能
  • 一身に専属するもの(代理権や雇用契約上の地位など)は相続の対象にならない
  • 生命保険は、被相続人が自分自身を受取人にしていた場合は相続財産に含まれ、そうでなかった場合は相続財産には含まれない(ただし、みなし相続財産として相続税が課せられる)

以上、相続財産の種類について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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