コラム

COLUMN
2021.09.21

【遺言の基礎】自筆証書遺言と公正証書遺言

遺言は必ず文書にする必要がありますが、文書の仕方には民法による決められた方式があり、それに従って作成しないと法的に無効となってしまいます。

遺言の方式には大別して普通方式と特別方式があります。

この記事では、本人が自由に作成できる自筆証書遺言と、公証役場で承認2人以上の立ち会いのもとに作成する公正証書遺言について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

普通方式の遺言は3種類

普通方式の遺言には以下の3種類があります。

それぞれに特徴があるので、どの方式が自分に合っているかよく考えて選ぶようにしましょう。

  自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成場所 自由 公証役場 自由
作成方法 本人が自筆(財産目録はパソコンなどでの作成でも可) 公証人が口述筆記(パソコン可) 本人(自筆・代筆・パソコン可)

証人・立会人

不要 2人以上の承認の立ち会い 2人以上の証人と公証人
費用 かからない 作成手数料がかかる 公証人の手数料が必要

署名・押印

ともに必要。押印は実印・認め印・拇印のいずれも可 本人の署名・実印による押印・証人・公証人の署名・押印が必要 本人(遺言書・封紙に署名・押印)、証人・公証人(封書に署名・押印)
封印 不要 不要 必要
秘密保持 できる 遺言内容、遺言したことが知られる 遺言したことは知られるが遺言内容は秘密にできる
短所 方式、内容によっては無効になる可能性もある。死後発見されない・紛失・改ざんのおそれもある 費用がかかる。証人、作成準備が必要 遺言の存在は明確にできるが、方式、内容によっては無効になる可能性もある
死亡後の家庭裁判所の検認 必要(法務局に保管されていた場合検認は不要) 不要 必要

 

特別な事情の場合の特別方式

特別方式には以下の2種類があります。

特別方式の遺言は、病気や事故などで死が間近に迫っているような場合や、感染症病棟内や航海中の船舶内などの隔絶されたところにいる場合など、特別な事情に置かれた際に行われる方式です。

遺言を作成した後で状況が変わり、普通方式の遺言が作成できる状態になり、6か月以上生存している場合、作成した遺言は無効となります。

自筆証書遺言とは

いつでも、どこでも本人が自由に作成できるのが自筆証書遺言です。

証人の必要もなく、遺言の内容や遺言書を作成したことも秘密にしておくことができます。ただし、書式や内容について一定の条件を満たしていないと法的に無効となってしまうので作成には細心の注意が必要です。

また、遺言書が死後、発見されなかったり紛失や第三者の手によって偽造、改ざんされるおそれもあります。

死後は家庭裁判所に提出して検認の手続きを受けなければなりませんが、2020年7月10日より施行される遺言書保管法により、法務局で保管されている自筆証書遺言に関しては検認の必要がありません。

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言はその名の通り、全文を必ず自筆で書かなければならず、代筆やパソコンで作成されたものは効力を持ちません。もちろん、テープに録音したものやビデオに録画したものも無効です。

法改正により、財産目録については自筆でなくパソコン作成等でも認められるようになりましたが、1枚ごとに署名・押印の必要があります。日付、氏名も自筆で書いて押印します。

日付・指名・押印のいずれか1つが欠けても無効とされます。

日付は「〇年〇月〇日」でなくとも、「満〇才の誕生日」というような書き方でも日付が特定されれば認められます。

年は元号でも西暦でも構いませんが、「〇年〇月」のように、日の記載がない場合は無効になってしまうので注意しなければなりません。

署名は戸籍上の実名に限らず、遺言者が特定できれば通常使用しているペンネームや芸名、雅号などでも有効です

押印の印鑑は実印でなくともいい(認め印でも可)とされています。拇印も認められていますが、できれば避けましょう。

また、書き間違いや内容を書き直すなど、加除訂正する場合は法律で決められた方式を守らないと無効になってしまいます。

たとえば字を間違えたときは、間違えた文字を線で消し、押印し、「〇行目の〇字を訂正し、〇字加入(削除)」のように、欄外に訂正したことを記入し、署名する必要があります。

用紙・筆記用具・封印するかしないかは自由

遺言書の用紙や筆記用具に制限はありませんが、用紙は保存に耐えられるものが望ましいでしょう。

大きさも規定はありませんが、家庭裁判所では検認の際にコピーをとるので、A4やB5などのサイズをおすすめします。

筆記用具にも規定はなく、ボールペン・筆・サインペンなどのいずれでもかまいませんが、改ざんの恐れがある鉛筆は避けましょう。

書き上げた遺言書は封筒に入れて、「遺言書在中」と上書きします。

封印をするかしないかは自由ですが、変造・汚損を防ぐ意味でも封印をしておいたほうがいいでしょう。

ただし、公正証書遺言以外の封印された自筆証書遺言や秘密証書遺言などの遺言書は、死後、家庭裁判所での検認の手続きの際に、全ての相続人に立ち会いの機会を与えたうえでないと、開封できないことになっています。

公正証書遺言について

公正証書遺言は、公証役場で承認2人以上の立ち会いのもとに、遺言者が遺言事項を口述して作成する遺言書です。法的に正しい書式で遺言書を作成することができます。

公正証書遺言の作成方法とメリット

公正証書遺言の作成手順は次のようになっています。まず、遺言者が口述する遺言事項を公証人が筆記し、遺言書を作成します。

次に、筆記したものを公証人が遺言者と証人全員に読んで聞かせます。遺言者と証人は、筆記が正確であることを確認のうえ、署名・押印します。

最後に公証人は証書を作成した手順を付記して署名・押印します。遺言者が病気などで署名できないときは、公証人がその理由を付記すればいいことになっています。

公正証書遺言は、遺言内容を秘密にすることはできませんが、遺言書は公証役場に保管されるので死後発見されないで紛失・破棄してしまったり、内容が改ざんされたりするおそれはありません。

また、一度作成した公正証書遺言を取り消したり、変更したりすることもできます。

死後、家庭裁判所での検認の手続きがいらないことも公正証書遺言の長所のひとつで、遺言者の死後、遺族はすぐに開封して内容を確認することができます。

公正証書遺言には法的に有効な内容しか書けない?
公正証書遺言にも、自筆証書遺言などと同じように遺言者の思いを記すことができます。
遺言者がどのような考えで相続分の指定や財産の分割方法の指定をしたか、自分が亡くなった後、家族にはどうして欲しいかなど、遺言書に記載したいことがあれば公証人に伝えましょう。

公証役場に行けない場合は公証人に出張してもらうことも

遺言者が病気で、本人が公証役場に行けない場合は、公証人に自宅や病院に出張してもらうこともできます。

ただし、出張してもらっても遺言者は遺言内容を口述するのが決まりなので、口述できない状態では公正証書遺言を作成することはできません。

また、出張費用として作成手数料が通常の1.5倍になるほか、日当・交通費(実費)が必要です。なお、聴覚・言語機能障害者の場合は、手話または筆談による公正証書遺言の作成が可能です。

公正証書遺言の作成手順

公証役場は全国に約300カ所あります。公証役場での相談は無料なので、公正証書遺言を作成したい場合はまず相談に行くといいでしょう。公証人には守秘義務があるので相談内容が漏れる心配はありません。

公正証書遺言作成時に必要なものは、まず実印と印鑑登録証明書です。作成時の押印には実印を使わなければなりません。

そのほか、遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本・遺言の内容によって遺贈する場合は受遺者(遺贈を受ける人)の住民票・被相続人の不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書・財産の目録など必要な書類は異なります。作成前に十分な確認と準備をしておきましょう。

そして、遺言内容を漏らさない、信頼できる人2人に証人を依頼します。証人2人の身分証明書と認め印も必要です。ただし、証人となれる人には条件があり、以下のような人には証人の資格がありません

  • ①未成年者
  • ②推定相続人、遺言によって相続を受けることになる人(受遺者)およびその配偶者と直系血族
  • ③公証人の配偶者・4親等以内の親族・書記・雇い人

一般には、以上に該当しない知人・弁護士・税理士などに証人を依頼することが多いようですが、証人を依頼できる人が思い当たらないときは公証人が紹介してくれます。

また、遺言の内容が複雑な場合は、作成前に税理士や弁護士などの専門家に相談するといいでしょう。

原本の保管場所と保管期間

公正証書遺言は原本と、原本の写しである正本、謄本の3通が作成されます。正本と謄本が遺言差に渡され、原本は法律では作成から20年間の保管が認められていますが、遺言者が120才になるまでの期間、公証役場に無料で保管されます。

万一、正本を紛失しても再交付を受けることが可能です。

また、公正証書遺言には「遺言書検索システム」があり、作成すると遺言者の氏名・生年月日・証書の日付・番号などが日本公証人連合会の本部でデータ管理されます。

これにより、公正証書遺言が作成されているか、作成されているとすればどこの交渉役場かなどの検索が可能です。

これらの照会ができるのは公証人だけであり、遺言者本人や遺言者の死後は相続人などの利害関係人のみが公証人に紹介を依頼することができるようになっているため、プライバシーを守ることができます。

公証人とは?
公証人は裁判官・検察官・法務局長など、原則として30年以上の実務経験を有する法律関係者の中から選ばれ、法務大臣が任命する公務員です。
このほか、長年法務事務に携わり、これに準ずる学識経験を有する者で検察官・公証人特別任用等審査会の選考を経た者も任命できることになっています。
公証人は法務局または地方法務局に所属し、全国各地にある公証役場で公証人法により仕事を行っています。

作成手数料と早見表

公正証書遺言を作成する際の費用(手数料)は、法によって決められていて全国どこの交渉役場でも同じです。その手数料は、相続人や受遺者が取得する財産の額や、相続人や受遺者の人数によって変わります。

目的価格 手数料
100万円まで 5,000円
100万円を超え200万円まで 7,000円
200万円を超え500万円まで 11,000円
500万円を超え1,000万円まで 17,000円
1,000万円を超え3,000万円まで 23,000円
3,000万円を超え5,000万円まで 29,000円
5000万円を超え1億円まで 43,000円
1億円を超え3億円まで 43,000円に5,000万円超過するごとに13,000円を加算
3億円を超え10億円まで 43,000円に5,000万円超過するごとに11,000円を加算
10億円超 43,000円に5,000万円超過するごとに8,000円を加算

自筆証書遺言と公正証書遺言のまとめ

  • 遺言書には法律で決められた方式があり、これに従わないと法的に無効となる
  • 自筆証書遺言には必ず日付・氏名・押印が必須で、死後は原則として検認が必要となる
  • 公正証書遺言は証人2人以上の立ち会いのもと、遺言者が口述して作成し、遺言書は公証役場に保管される

以上、自筆証書遺言と公正証書遺言について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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