コラム

COLUMN
2021.11.30

【相続の手続き】在日外国人の遺言書を日本で検認する手続きの流れ

日本で暮らしていた外国人が亡くなったとき、遺言書の検認は日本の家庭裁判所で行うことができるのでしょうか。

また、その手続はどこの国の法律に従って行われるのでしょうか?

この記事は、在日外国人の遺言書を日本で検認する手続きの流れについて、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

遺言書の検認申立ての必要書類と流れ

公正証書遺言の場合には、検認手続は不要です。

自筆証書遺言の場合には、日本の家庭裁判所に遺言書の検認の申立てが可能です。

その場合は被相続人が死亡したことが分かる住民票を添えて、住所地の家庭裁判所に申立てをします。

検認を終えた後、家庭裁判所に対し、検認を受けた旨の証明の申立てをしましょう。

作成書類 遺言書検認申立書
添付書類

・遺言者の死亡の記載のある住民票

・外国人登録原票の写し

・遺言者の相続関係を証する書面(出生証明書・婚姻証明書等)外国語の書面についてはその訳文

・相続人全員の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)

※その他裁判所の定めるところより、身分関係についての資料・手続きの円滑な進行を図るために必要な資料の提出を求められる場合があります。

申立時期 遺言者の死後
申立人 遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人
申立先 相続を開始した血を管轄する家庭裁判所
申立費用 収入印紙(遺言書または封書1通ごと)800円・予納郵便切手(各家庭裁判所の定めるところによる)

法律の適用は遺言方式準拠法にしたがう

遺言についての法律の適用は、次のとおりです。

まず、「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による」こととなり、本国法主義を適用しています。

「遺言の成立」とは、遺言能力・遺言の意思表示の暇疵、「遺言の効力」は遺言の効力発生時期・遺言の拘束力等などです。

遺言の方式については、原則として法の適用に関する通則法の適用を排除し、「遺言の方式の準拠法に関する法律」(以下「遺言方式準拠法」)にしたがって決められます。

遺言方式準拠法は、遺言を方式上なるべく有効にする遺言保護の立場が採用されています。

遺言方式準拠法2条では、

  • ①行為地法
  • ②遺言者が遺言の成立または死亡当時国籍を有した国の法
  • ③遺言者が遺言の成立または死亡当時住所を有した地の法
  • ④遺言者が遺言の成立または死亡当時常居所を有した地の法
  • ⑤不動産に関する遺言についてその不動産の所在地法

のいずれか1つの国の法律にしたがって方式上有効とされれば、当該遺言が仮に日本の民法上の要式に合致していなくとも、日本においても方式上有効と扱われます。

日本で遺言書の検認を行う条件とは

遺言が方式上有効であるとして、次に遺言書の検認を日本の裁判所で行えるのか、遺言の検認の国際裁判管轄が問題となります。

平成30年の家事事件手続法の改正で、以下のいずれかの場合には、日本の裁判所の管轄となると定められました。

  • ① 相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき
  • ② 住所がない場合または住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき
  • ③ 居所がない場合または居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国
    内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を
    有していたときを除きます。)

遺言書の検認に関する準拠法

遺言書の検認に関する準拠法については、遺言者の本国法によるべきとする見解もあります。

しかし、実務上は法廷地法を適用していることが多いと言われています。

神戸家裁昭和57年7月15日審判は、日本で死亡したフランス人が、フランス民法上の方式によって作成した公正証書遺言について、フランス民法でも、日本民法でも公正証書遺言に検認は不要であることから、検認の申立を却下しました。

神戸家裁昭和33年11月28日審判は、インド国籍の遺言者の遺言について検認を認めました。

検認申立ての際は遺言者の国籍・遺産の所在地を確認

被相続人(在日外国人)の残した遺言書が公正証書遺言の場合には、検認手続は不要です。

自筆証書遺言の場合には、日本の家庭裁判所に遺言書の検認の申立てが可能です。遺言書が封印されていた場合には、開封せずにそのままの状態で申立てをしてください。

なお、検認の手続で遺言の有効性の判断を求める英米法系の国もあります。

そのような国では、日本の家庭裁判所で検認をした遺言書の効力があるのか、外国における効力が問題となることがあります。

検認の申立ての際には、遺言者の国籍・遺産の所在地等に注意しましょう。

審判の手続について

申立てをすると、家庭裁判所から申立人および相続人に検認期日の通知がなされます。

申立人および相続人は、その期日に家庭裁判所に行くことになります。

遺言書保管者は、検認期日には保管している遺言書を持参しましょう。

なお、遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を
得なければ、取り下げることができません。

家庭裁判所は、申立人および相続人の立会いの下で遺言書を開封し、遺言書の用紙・筆記用具・内容・印・日付などを確認して検認調書を作成します。調書には、次に掲げる事項が記載されます。

  • ① 事件の表示
  • ② 裁判官および裁判所書記官の氏名
  • ③ 申立人の氏名または名称および住所
  • ④ 立ち会った相続人その他の利害関係人の氏名および住所
  • ⑤ 検認の年月日
  • ⑥ 証人、当事者本人および鑑定人の陳述の要旨
  • ⑦ 証人、当事者本人および鑑定人の宣誓の有無ならびに証人および鑑定人に宣誓をさせなかった理由
  • ⑧ 事実の調査の結果

封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封することはできません。

なお、相続人に立会いの機会を与えればいいとされているので、相続人が通知を受けながら検認の指定日に家庭裁判所に行かなかったとしても影響はありません。

また、検認は、遺言の効力を決定するものではないため、後日、検認済の遺言書の無効を争うことはできます。

遺言書の検認がされたときは、裁判所書記官は、これに立ち会わなかった相続人、受遺者その他の利害関係人(検認期日の通知を受けた者を除きます)に対してその旨を通知しなければなりません。

遺言書検認済証明の発行申請の流れ

検認を終えた遺言書は、申立てにより、検認を受けた旨の証明がなされます。

作成書類 遺言書検認済証明書
添付書類 なし
申請時期 随時
申請者 遺言書により権利行使をしようとする者
申請先 遺言書を検認した家庭裁判所
申請費用 収入印紙150円

在日外国人の遺言書を日本で検認する手続きの流れに関するまとめ

  • 公正証書遺言なら検認の手続きは不要
  • 英米法系の国では、日本の家庭裁判所で検認をした遺言書の効力があるのか、外国における効力が問題となることがあるので遺言者の国籍・遺産の所在地等に注意する
  • 検認を終えた後は家庭裁判所に遺言書検認済証明の発行を申し立てる

以上、在日外国人の遺言書を日本で検認する手続きの流れについて解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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