コラム

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2022.11.07

【相続基礎】遺言書と遺書の違い|遺言書を遺す意味とは?

遺言書と遺書の違いについてご存知でしょうか?

遺言書には法的効力がありますが、遺書にはありません。

相続財産をどのように引き継がせたいかを遺言書に遺すことで、遺言者が財産を渡したい人に相続させられるだけでなく、相続の負担やトラブル発生の可能性を軽減することができます。

遺書は死後を想ってお世話になった人たちに書き残す手紙だと思いましょう。

この記事では、遺言書と遺書の違い|遺言書を遺す意味とは?について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

遺言書と遺書にはどのような違いがあるのか?

遺言書と遺書はどちらも遺言者の意思を記した書面ですが、2つには決定的な違いがあります。

それは、遺言書には法的効力があり、遺書にはないということです。

2つの違いの詳細を解説しましょう。

遺言書=法的効力がある

遺言書とは、相続財産(遺産)について、

  • ①誰に
  • ②どの相続財産を
  • ③どのように

引き継ぐのか、本人の希望を書いた書面のことです。

遺言書に法的効力が認められる理由は次のとおりです。

  • 法律に則った書式で作成される
  • 公証役場の認証を受ける
  • 開封時に家庭裁判所で検認(開封と確認)の手続きを行う

遺言書に記すことで、法定相続人以外の人に遺産を相続させる(遺贈する)ことができます。

死の間近に書き残す遺書とは違い、遺言書は元気なうちに用意することをおすすめします。

元気なうちに遺言書を作成したほうがいい、と言われてもピンとこない人もいるかもしれません。

しかし、万が一認知症になった時に遺言書を作成すると、意思能力がない状態だったとして遺言書が法的に無効となる可能性があるからです。

詳しくは、こちらの記事で解説しています。

遺書=法的効力がない

遺書には法的効力がありません。

遺言者が自分の意思だけを伝える手紙として扱われます。

その代わり、厳格な書式に則って書く必要も、検認を受ける必要もありません。

遺書は死を間近にした人が遺す手紙なので、その内容の多くは家族やお世話になった人たちへの感謝や別れの言葉、葬儀の際の要望になるでしょう。

また、遺書とエンディングノートの違いに関してよく分かっていない方も多いかと思います。

実はどちらも「死後を思って記した手紙や文書」と捉えられるため、意味合いとしては変わりません。

遺言書を遺すことのメリットとは

遺言書を遺しておくことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?

遺言書を作成するメリットを3つ説明していきましょう。

①相続人の手続きの負担を減らすことができる

相続が発生すると、被相続人(故人)の相続財産を調査して確認し、相続人全員で遺産分割協議(話し合い)を行って相続財産をどう分けるかを決定します。

しかし、この2つの手続きはなかなかにやっかいです。

相続財産の調査では、被相続人にどれほどの資産や借金があるのか隅々まで調べなければなりません。

正確に把握していないものを調査するには、大変な労力を必要とします。

それから、相続人が複数いると、自分の相続分を主張するために遺産分割協議が難航する可能性があります。

遺産分割協議が長引けばそれだけ相続人にとって負担になり、協議を終えた後の関係にも遺恨を残すことになりかねません。

遺言書を作成し、財産目録を付けておくことで相続財産調査の手間は大幅に減らすことができます。

また、各相続人が何をどれだけ相続するかを明記しておけば、遺産分割協議がまとまりやすくなるでしょう。

②相続のトラブル防止になる

遺産分割協議は相続人間で意地の張り合いになり、争いの火種になる可能性も考えられます。

こうした「争族」を防ぐには、遺言書で各自の相続分を決めておくことが有効策となるでしょう。

また、前妻との子、非嫡出子(婚外子・隠し子)など、家族の知らない相続人がいる場合はその相続分を明記しておきましょう。

不要な相続トラブルを避けられます。

③自分が渡したい人に遺産を相続させられる

遺言書を作成することで、法定相続人でない人にも遺産を相続させることができます。

内縁の配偶者やお世話になった人に遺贈する場合に必要です。

遺言書は誰でも作成できるのか?3つの種類と書き方について

遺書は自由に書くことができますが、遺言書には法律に則った厳格な書式が定められています。

この書式に則れば、誰でも遺言書を作成することができます。

遺言書の作成方法は3つの種類によって変わり、それぞれ定められた方式で作成する必要があります。

遺言書の種類と作成方法について簡単に説明しましょう。

自らが手書きで作成する自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が書面に

  • 作成の日付
  • 遺言の内容
  • 氏名

を手書きして、署名の下に押印することで作成します。

最も手軽に作成できますが、書式や内容、訂正の仕方に不備があると法的効力を失う可能性があるほか、自身で保管する上でのリスクには未発見・破棄・隠匿があります。

自筆証書遺言が法的効力を発揮するためには、以下の手続きが必要になります。

  • 家庭裁判所で検認の手続きをする
  • 自筆証書遺言保管制度を利用して、法務局に保管してもらう(この場合の検認は不要)

自筆証書遺言の書き方の詳細は、こちらの記事で解説しています。

公証人に作成してもらう公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場の公証人の関与のもとに作成します。

遺言者が公証人に遺言書の内容と財産目録を伝え、それに基づいて公正証書が作成されます。

遺言書は公証役場で保管され、検認の手続きを受ける必要もないので遺族はすぐに開封して確認することができます。

自筆証書遺言と違い、保管上のリスクがありません。

公正証書遺言の作成方法と費用に関する詳細は、こちらの記事で解説しています。

内容は秘密のまま作成した記録を残せる秘密証書遺言

秘密証書遺言では、遺言者は遺言の内容を記した書面に署名・押印して封印したまま公証人に提出します。

署名は自筆でなければいけませんが、本文はパソコンでの作成が認められています。

公証人に内容を確認してもらえないので、書式に不備が無いかどうか確かめることはできません。

秘密証書遺言は遺言内容を秘密にできますが、公証役場で秘密証書遺言を作成した事実が記録されるため、遺言書の存在があることを明確にすることが可能です。

相続の際は、家庭裁判所の検認を受ける必要があります。

秘密証書遺言の作成方法の詳細については、こちらの記事で解説しています。

遺言書と遺書の違い|遺言書を遺す意味とは?まとめ

  • 遺言書と遺書の違いは法的効力があるかどうか
  • 相続の手続きの負担軽減やトラブル防止に繫がるほか、法定相続人以外の人に遺贈できるのが遺言書を遺すメリット
  • 遺言書の種類は3つあり、方式に則ることで誰でも作成することができる

以上、遺言書と遺書の違い|遺言書を遺す意味とは?について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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